しかしここでの熟考は危険だ。
先手必勝。
相変わらず音も無く、間合いを
一気に詰めた。
その手には何も持っていない。
どころか、なんの変哲もないジャージ姿。
戦う気があるのかどうか。
実際、藍玉の目的は相手を「殺る」ことでは
なかった。捕まえて、情報を訊き出す。
その後は相手次第と言ったところか。
………
(気配が近く、それに気付いて刀のつかに手を当てる
不思議と久しぶりの命の危険が伴う行動に緊張感は無かった)
(寧ろ堂々と冷静を保つ事ができている…
忍びの経験は骨の髄まで染みついているらしい)