>>first
救出部隊ALL
【翌日/first救出前哨基地】
狼谷
「準備は出来たか?
先に潜入部隊を潜り込ませておいたが連絡が取れなくなった……基地内には十二鴉、或いは三羽鴉がいると思われる……総攻撃を開始する前にお前達の意見を聞ききたい。」
あれから時間が経ち、翌日の午後になり、攻撃部隊による総攻撃を行おうと言う矢先、先に桜空の居場所を探って安否の確認や安全の確保をするために潜り込ませていた潜入部隊50人10チームの全員と連絡が取れなくなった事から、このまま桜空の居場所が判らないまま攻撃を仕掛けるべきか、それのも追加で有志の潜入部隊を送り込ませるか、どうしたいかを攻撃部隊全員に問いかける。
勿論、潜入部隊も猛者揃いであり、全員に八咫烏の偽装IDや制服を支給しており、ほぼ完璧に近い変装をさせていたのだが、それでも正体がバレた可能性が高いことから何らかの方法で見破られたか、分析に長けた異能力者の存在が考えられる。
攻撃にせよ、潜入にせよ一筋縄には行かないと思われる……
中川「ん〜俺としては、残ったメンバーで総攻撃を仕掛けたいところだなぁ」
狼谷の問いに、自らの顎髭をさすりながら答える。
別に考えなしの返答ではない。なにせ50人もの潜入部隊が一度で壊滅したのだ。迅速に少数精鋭で動き、幹部格を潰す必要がある。
或いは、以前紀が言った通り現リーダーを切り捨て組織の立て直しを図るのも手だ。
(……けど、そうもいかねぇか)
鼻で小さく嘆息。
合理性を突き詰め、他人を切り捨てる。それこそFirstの方針に反するではないか。
ならば取るべき道は一つ。
「『お宝』を、奪い返しに行こうぜ?」
にっと笑いながら、能力で作り出した何十カラットもの金剛石(ダイヤモンド)を掲げる。
八咫烏が桜空から情報を引き出せないと判断すれば、彼は殺処分されるだろう。時間は限られている。
それこそ、我が能力のように。