紀「・・・・・お粗末、ですね・・・・・」
(紀は部屋の様子を見ると、ただ一言そう呟く・・・・・
基本的に部屋が片付いていたり、何かしらを置きっぱなしにして放置するということがない紀からすれば、この部屋の風景は理解し難いのだろう・・・・・
「使おうと思えば、まだ使えるものだってあるのに・・・・・」
と、小声でボソッと呟く)
「相変わらず手厳しいねえ、まあ無事なら何よりだ」
相方の好調を確認し、この部屋の調査に意識を移す。
「……まさに殺風景ってとこか、風情も何もありゃしねぇ」
僅かに肩を落とす。
まあ無駄に豪華絢爛でも困るのだが。とりあえずいきなり兵隊に取り囲まれる、という事態にならなかっただけでも儲けものだろう。
「ん〜……いや、止めとくか」
棚に並んだガラクタを見て物色してみようかと考えたが、直ぐに止めた。
もしかしたら銃器の類が眠っている可能性もゼロではない。しかしこんなところに廃棄されているのだから、まともに使える保存状態ではない筈。それに弾薬が入ったまま捨てるほど奴らも馬鹿ではあるまい。そして何よりーー
(俺に銃器は要らねえ)
この錬地術師(アースウォーリア)がある限り。
適当な大きさの鉄球を飛ばすだけで、下手な拳銃を超える威力は出せる。もし必要になるとすれば、成形炸薬弾くらいのものだろう。
「こっからくすねるなら、家電のジャンクパーツあたりだな」
だが今は大仕事の真っ最中。つまりは、ここに拘る理由はない。
扉に近づき、向こう側に兵士などがいないか注意しながらドアノブを回す。
【訂正版です】