夕渚「・・・・・照れるじゃん・・・・・」
(貴方に似て可愛いと言われると、想定外の発言だったからか、少し嬉しそうな笑みになるが、やはりどこか哀しみを感じることには変わりない・・・・・
そして、夕渚は語り始める・・・・・
「昔ね・・・・・家に不審者が入ってきて、お父さんとお母さん、私は縛られて妹は目の前で不審者に刃物で首を切り裂かれて命を落としたの・・・・・あの日以来、両親は笑わなくなってしまった・・・・・そして、今度は私・・・・・私が死んだら、両親は悲しむけれど、妹のいる場所に行ける、ずっと一人ぼっちにさせちゃった妹に会える・・・・・そんなことばかり、考えちゃってさ・・・・・」
と、いつもの夕渚からは考えられないほど暗い発言をする・・・・・
今でも脳裏にこびりついている、緋色の鮮血に染められた妹の姿が・・・・・
だが、今までそれを隠し、人と接する時は常に笑顔を絶やさないようにしてきた・・・・・
氷華は、夕渚が初めて本当の自分をさらけ出して話せた相手だったのかもしれない・・・・・)
>>681
氷華
「………それは辛いわね……
貴方にそんな暗い過去があったなんて驚いたわ……」
自分の見て来た夕渚は天然で人を疑うことがなく、犯罪現場を知りながらも捕らわれている者を身を案じたりと、どこか弱々しい様子であった事から、凄惨な過去があったと思っていたのだが、案の定、今にも引き摺る暗い過去があった事を知り合点がいく。
大抵の者は辛い過去があると復讐に走ったり、異常性を開花させたり、全てを諦観するようになるのだが、おそらく夕渚の場合は後者なのだろう。
氷華
「貴方は悪が憎い?」
本心を見せてくれた夕渚に対してさえ、氷華は自分の過去については一切語らず、悪が憎いのかどうかだけを聞いてみる……
自分は理不尽な悪、惨劇や悲劇をもたらすために力を渇望し、強さを追い求め、八咫烏に入った。そんな自分を突き動かす原動力は、悪に対する憎悪と、無力だったかつての自分への絶望から来ている……
彼女が復讐を望むのであれば八咫烏としての道を教えてもいいのかもしれない…