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華やかな夜の街を、紺に身を包んだ彼女は闊歩する。どこか鼻歌でも聞こえてきそうな軽快な足取りで。なんて事ないワンシーン見えるが、その小さな体には不釣り合いな重々しい両手斧が背負われていた。
騎士レベルの吸血鬼が出たという噂を聞きつけこの地に赴いたが、ここ数日見つけることはできず。今日も今日とて、吸血鬼狩りの間で共有されている情報を頼りにこうして夜の街を出歩いているのだった。
花も恥じらう乙女が、お肌にわるぅい時間に起きて、こうしておめかしまでして来たんだから!今日こそ出会えるはず!
そう期待を込め乍ら歩いた先、ひとつのバーを見つけると歩みを止めて。
「ここ、いそうじゃなぁい?」
吸血鬼にせよ、それに関する情報にせよ、何かしら掴める気がして口角を上げる。扉に手をかけると、ゆっくりと開けて中に入った。