全く、人使いが荒いんだからね
( 踏み込んだ絨毯の柔らかさが軍靴を受け止め足音を打ち消した。数分前まで大佐からの呼び出しに応じてやっていたというのに、食事会にまで間に合わせろとは此れ如何に。いや懇親会だったか、まあどうせ食事をして話すだけなのだから同じようなものかと苦笑する。自分が原因で遅れているわけでもないし、そもそも食事会に駆け込むのも行儀が悪いと体裁の良い言い訳を考えながら、悠長に廊下を歩いていく。その間も矢鱈と落ち着きなく周囲を見回すと、凝った装飾品などに目をやり毎度のことながら随分と洒落込んだ建物を選んでいるものだと内心で思いながら、人通りがないのを良いことに溜息交じりに小声で上記。歩くうちに他人の気配がして、上司であっては困るので一応姿勢だけは正してみる。やがて同じように何かしらで遅れたであろう人間を見かけるがお互い焦っている(自分はその体である)ため干渉はしないまま歩き続ける。そのうちに絨毯が途切れ現れた扉を多少乱暴に開き、受付で教えられた場所を探す。果たして少佐の割り当ては何処だったか、と思ううちに場が静まり返った。先程まで好き勝手喋っていたのだからそうしていれば良いのに、と思ったが、手をつけられていない食事を見るにどうやらまだ懇親会は始まってもいなかったようだ。こういった場での時間厳守ができない人間など無視して始めているものだと、とは思うものの当然ここで口に出すわけにもいかない。そうこうするうちにやっと空き席を見つけ、とにかく座って隣の少佐とにこやかに軽く挨拶を交わす。反対側の人間にもと目を向けるとそこには先日話しかけた中尉の彼がいた。そういえば2階級差だったかと思いつつ笑って下記 )
あぁ君は、しばらくぶりだ
>>13 志賀君