アナロジカルなヒューマニリズムと同様に、分子生命学、複雑系、バーチャリティ、ナノテクノロジーにより形成されたインターラクティブな社会、具体化されたメディアと複合現実との間の触媒によるメタ作用を通してデジタル技術の人間化のエピトーメーに取り組む思想としてポストヒューマニズムをとらえている。
ポストヒューマンとは、人間という存在をこれまで規定してきた諸前提、
とりわけ西洋・白人・男性中心的な人間観を厳しく批判するための概念であり、さらには、
そうした諸前提がもはや保持しえず、また、保持するべきでもない現代のグローバルな
地政学的状況のもと、わたしたちの存在のありかたを新たに描きなおすことに向けられた概念なのである。
ポストヒューマニズムを人間中心主義としてではなくジル・ドゥルーズの超越論的経験論的な
観点からロージ・ブライドッティ 、松本良多、ステファン・ハーブレクターは
クリティカルな人間と機械の共生する哲学としてとらえている。