私は一ヶ月後には試験を迎えるしがない受験生。今日は気晴らしに放課後に美味しいものを食べに出かけていた。
給料も入ったばっかりで懐が潤っ……湿っている程度ではあったがマックにサイゼ、スタバや安価なカフェくらいは問題なく行けそうだった。何処に行こうかと頭を悩ませていると綺麗なお姉さんから声をかけられた。
「最近悩みってありますか?」
怪しすぎやろがい!
私はすぐに察した(あっこの人宗教勧誘の人だ……)となんか宗教勧誘の人ってわかりやすいよね。宗教勧誘コーデでもあるんだろうかってくらい服装統一されてるよね。
咄嗟に私は答えた
「ないです」
大嘘である。受験を控えた人間が悩みを持ってない訳が無い。だがこう答えるのが吉である。
「本当に?貴方何かに悩んでる顔してますよ」
失礼な!強いて言えば何処でお腹を満たそうか悩んではいるが。
「大丈夫神は貴方をお救いになります」
不味い、このままでは彼女のペースに飲まれてしまう!そうすれば美味しいものを食べる時間が減ってしまうでは無いか!私は打開策を切り開けないか頭をフル回転させた。が、しかし、偏差値50の頭がお世辞にも良いとは言えない底辺高校に通う私のおつむは良い案を出してくれなかったが、ふと鞄の中に入ってる小説の存在を思い出した。
「あ、あのすみません私別の宗教を信仰していて…文神霊〇を推し……信仰しています!」
そんな神存在していない。だって中華BL小説『天〇賜福』のキャラクターですもの。お姉さんも聞いた事ない神の名前を挙げられ戸惑いを隠せていなかった。
「彼女は博識で当時女性に学があるわけが無い、女性に文神が務まる訳が無いという考えから全ての像を男性に掘り変えられてしまうという事がありながらも、決して怒ることはなく、寧ろ信徒の枕元に男性の姿へとわざわざ変えて立つという優しいお方なのです。そんな彼女を私は信仰しています」
知らんけど。確か小説ではこんな設定だった気がするという記憶だけで頑張った。が、しかし、それでお姉さんは引き下がらなかった。
「貴方の熱意は伝わりました、ですが〇〇教では複数の宗教を信仰されても大丈夫です」
そうきたか