唐突のしゅしゅ稲荷
ある朝目覚めると、何やら仮面の青年が神社の境内でうろついていた。
何をしておるのだ、と声をかければ、青年は表情の読めぬ顔をこちらに向け、ぺこりと一礼した。
「お邪魔してます。朝早くに目が覚めてしまったので散歩していました」
若い見た目によらずなんとも年寄り臭い理由だった。しかし私も暇であったので、トテトテと一見無害そうな彼のそばに近づいた。何より気になるのは、
「その仮面は何であるか?」
「ああこれ……特になんでもないですね」
そんなわけあるか!
胡散臭さが炸裂して若干引いた表情で青年を見ていると、彼が私に向き直った。
そして一言、
「可愛い耳ですね、犬の神様ですか?」
…………
?!
「なっ…なっ……わ、私は高貴な稲荷神であるぞ!下賤な狗神と一緒にするでない!」
「なるほど、お狐様でしたか」
「ああそうだ!お狐様である!無礼の詫びに油揚げを今すぐ上納せよ」
ぷんすかとしながら青年を睨みつけていると、不意に頭の上に彼の温かな手がのせられた。
わしゃわしゃ。
………。
は?
「ふふ」
青年の愉快そうな笑い声が耳に届いた。
「いい子いい子、ですね」
毒薬よりも甘美な声に、尻尾が無意識に揺らぐ。
怒りはすっかり収まってしまった。
微笑ましい
私も稲荷神わしゃわしゃしたくなってきた
なにこれかわいい
微笑ましいなw
>>346のせいでしゅしゅ稲荷にはまったじゃないですかもう!