匿名民のCPを勝手に作るスレpart15

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953:匿名の腐女子:2016/09/14(水) 00:24

しゅしゅ悪魔
シリアス気味



「しゅしゅたん、入っていいか?」

夜分遅くに響くノックと能天気な声。何の用だろうか。すでに就寝の準備を終えていたしゅしゅはパジャマ姿のままベッドから出て、扉をゆっくりと開けた。

「オッスしゅしゅたん」
「……何時だと思ってるんですかね……」

あからさまに嫌そうな顔で言ったしゅしゅを気にすることなく、悪魔は赤い髪を揺らしながらズガズガと部屋に侵入してくる。そして我が物顔でしゅしゅのベッドに腰掛けると、これまたあっけらかんとした表情でしゅしゅにこう告げた。

「俺狼な」
「……」
「そんな訳でしゅしゅたん噛みに来ちゃった☆」

帰れ、という言葉が思わず口から滑りでそうになって抑え込む。そうしてひとつせきばらいをし、しゅしゅはやや険しい表情のまま悪魔のそばに座った。ベッドがギジリと音を立ててマットレスが沈み込んだ。二人は今、互いの体温を感じあえるほどに近い。それに気付いた悪魔が少し照れたように顔を赤くした。口を開けば馬鹿げた言葉が飛び出た。

「し、しゅしゅたん近くね?」
「誰かさんに叩き起こされたせいで今寒いんです。退いてくれたら即布団に入りますが」
「えー布団に入るなよ、噛まなきゃいけないんだから」

不満げに口を尖らせながらも悪魔の目には確かな殺意は宿っている。そう確信して、しゅしゅはもう足掻くことはやめた。若干眉を下げて申し訳なさそうな顔をしている阿呆な狼を無言で抱き寄せる。悪魔がひゅっと息を吸う音が耳元で鳴った。高めの体温が薄いパジャマの布越しに直に伝わってきてとても心地よく、しゅしゅは甘えるように悪魔の首筋に顔を埋めた。抱きしめている相手はそこでタガが外れたように一気に背中に手を回して抱き締め返してきた。強く、そして少し震えながら。

「……めんな、しゅしゅたん」

謝罪の声がする。
馬鹿な奴だ。
しゅしゅは目を細め、返事代わりにスリ、と頬を擦り付けた。悪魔もまた、一つに溶け合いたいとでも言うかのように強く抱きしめてくる。ランプに照らされてできた二つの影は今やひとつとなって交わっている。星空の下、他の者たちが眠る中で、ここだけが切り取られた永遠の秘めやかな空間のようだった。

しかし時は無情にも過ぎていくのだ。

「……そろそろ夜明けですね」

呟くように言えば相手の体がピクリと跳ねるのがわかった。なんだ、一晩経ったというのにまだ覚悟は決まっていないのか。呆れたくなると同時に、どうしようもないほど愛しくなる。なんだかんだ言ってしゅしゅは悪魔が好きだった。

「しゅしゅたんごめんな、本当にごめん」

一晩中で聞き飽きたそのセリフを今もまた繰り返す彼をどうして愛せないのか。そうして愛しているからこそ、自分もまた一晩が経つことを許したのだ。
顔を上げて悪魔と視線を合わせる。普段の活発な彼からは決して想像できないしょぼくれた顔と少し涙の溜まった目尻。狼になろうと村人であろうと悪魔は自分を特別扱いしている。これは、この顔は、自分だけのものだ。彼は誰とも仲良くしているが、この顔だけは自分以外に見せたりはしない。なんという優越感であろう。

「気にしていませんから。ゲームが終わればまた会えます」
「いやでも……痛いだろ……なるべく一瞬で終わるようにするからさ、目を閉じててくれ」

後ろ頭に手を置かれた感触がする。頭は固定され、首筋に生温かい息がかかる。そこに牙を立てば自分は終わる。あとは幽霊となって、彼の活躍でも見守ろうか。そういえばこうもりがいたがあれは誰だろう。幽霊になれば心置きなく推理ができるから好きだ。そう、悪くはない。

が。

白い牙が柔らかい肌を突き破るその瞬間、しゅしゅはポンと軽く悪魔の頭に手を置いた。刹那悪魔の動きが止まり、そして力が抜けたようにベッドに倒れこんだ。

しゅしゅは意味深な笑みを口元に浮かべたまま眠る悪魔を見つめている。登ってくる朝日を浴びながら普段着に着替え、若干の牙の跡がある首を撫でながら、ふうと小さく息を吐いた。

「さて、どうやって僕吊りに持って行きますかね」

小さな犬歯がキラリと光って、狐は部屋を後にした。


なめこ:2016/09/14(水) 00:35 [返信]

人狼要素あるのほんと好き……すき……!!
オチも好きだししゅしゅ悪魔のCP要素出てるの本当に好き!ありがとうございます!


匿名の腐女子:2016/09/14(水) 08:28 [返信]

ああああああすき


匿名の腐女子:2016/09/14(水) 21:52 [返信]

>>953を読んでこんなイラストを思い浮かべてました。ほんとに素敵な文で滾る↑↑
http://ha10.net/up/data/img/13061.jpg


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