>>843
書かずにはいられなかった…!
DV注意な悪魔聖書
バシンッ
前触れもなく平手が飛んできた。
叩かれた頬がじりじりと痛むよりもはやく、矢継ぎ早な暴力が俺に襲いかかる。
平手、平手、平手、拳、拳、足、足、拳、足、拳………
どのくらい経ったのだろう。全身から力が抜けて床に倒れたまま、無事だった左目の瞼だけ持ち上げてなんとか悪魔殿を見上げた。
やっと気が済んだようで、彼は握り締めていた拳を緩めてだらりと体の両側に垂らす。そして優しく手を伸ばして抱きしめてくれた。血の匂いしかしないはずなのに、空気が甘く感じられた。
切れた口内から溢れた血は喉を塞ぐ。が、それでもゴボゴボと湿った声で彼に問いかける。
「俺、を…くるしませて、楽しいです、か……?」
答えはもちろんなかった。
その代わりに、太陽のように無邪気で暖かい笑顔が、悪魔殿の顔に咲いた。
体を蝕む痛みも苦しみもその笑顔に掻き消された。心の中がぬるま湯に浸かったかのようにとても温かい。
ああ、やはり嫌いになれない。
(惚れた弱み、ですね)
顔を上げてそっと口付けた。
あぁ〜^