しゅしゅ聖書で遭難小ネタ
メモにあったのでバッ
拾い集めた松の枝をざっくばらんに広げ、そこに火種を慎重に放った。油分の多い葉はよく燃える。そうしてくゆりくゆりと澄んだ空へ登って行った煙を見送ったところで、背後で茂みが揺れた音がした。
力仕事の後の疲れをそっと顔から隠し、聖書はふっと目を細めてやって来た人に微笑みかけた。
「お帰りなさいしゅしゅさん…ご無事でなによりです」
「ただいま、聖書さん。火起こしを任せてしまってすみません」
「いえ、この程度の仕事なら俺にも余裕でできますから。それより収穫はあったようで」
その言葉にしゅしゅは両腕で抱えていた包みを聖書の前に下ろし、開いて見せた。中には小ぶりながらも、虹色の鱗を輝かせてその鮮度を見せつけてくる、三尾のニジマスが横たわっていた。釣り針にひっかけられた部分からはなお鮮血が垂れ出ている。それもそのはず、この二尾はしゅしゅがたった今そばの川から釣り上げて来たものだから。
陸の孤島たる山の一角にて遭難して1週間目、服は汚れているが、適応力のあるしゅしゅと聖書は特に不自由なく助け合いながら日々を過ごしていた。
「今回こそ狼煙に気づいて欲しいなあ」
ニジマスを火にかけて加減を見ながらしゅしゅは呟く。不完全燃焼するため火元としてはあまり適さない松の葉をあえて燃やすのは、その煙でレスキュー隊に気づいてもらうためだった。
パチパチと火花を散らして燃えるそれをぼんやり見つめながら、聖書は無意識にしゅしゅのそばに身を寄せる。寒いからではなく、安心感を欲しがった。
昼間の太陽が出ている間はまだ良い。しかし夜になれば、森は脆弱な人間に向かって牙を剥く。近くに熊が冬眠に使ったらしい洞窟があり、夜にはそこで二人で身を寄せ合って暖をとりながらねむる。洞窟の入り口は長めの木の枝と枯れ草で塞ぎ、簡素な安全地帯を作り上げる。
眠る時間帯では、聖書はよく目を開いて側のしゅしゅを見つめる。
暖かく安らぐその時間がたまらなく好きで、寝てやり過ごしてしまうのが勿体無いと思ってしまうのだった。
髪と同じく金色の睫毛を伏せて考える。
いっそ、このまま二人だけの世界が続けば良いのに。
「そろそろいいかな?聖書さん、この二尾をどうぞ」
「ーーー…あっ、ありがとうございますしゅしゅ殿…!でも俺が二尾なんて…」
「育ち盛りはちゃんと食べて頂かないと」
自分も大して年老いてないくせにそう言って彼は笑う。優しさかくすぐったくて、聖書は染まった頬を隠すように俯いて魚に口をつけた。
願わくば今回の狼煙も届きませんように。
この文章力は………!
久しぶりです、今回も萌えありがとうございます!
そういえば教会組全然集まってないな(´;ω;`)花組も狂乱も集まってない
ありがてぇ
懐かしい人と人狼はしたんですけどねええ
>>121猟奇的過ぎワロス
>>126素晴らしいですな