_もうすぐ時計の短針は3時を指す。意気揚々と戦争に向かうウェルに、後ろからとことこと着いてくるのは、…敵一派のオペラ。
「 ……ウェルルくん? 」
「 煩い、それで呼ぶなって言っているだろ 」
「 ッ… 」
オペラが後ろから珍しくおずおずと声を掛けるが、戦争のことで頭がいっぱいのウェルの耳には入らない。
「 ……ねえ、ウェルくん……、 」
「 _? 今、"ウェル"っt 」
甘えるようにもう一度、今度は耳元まで行って囁かれたウェルは、流石に些か困惑したようだ。そのままオペラが、素早くウェルの左手に自分の右手を滑り込ませる。
「 …! おい、 」
「 ……暖かい。もう少し、こうさせてくれよ? 」
ほわんと笑うオペラに、少しだけぴくりとウェルが反応した。が、直後に思いっきり叩き落とした。バチンッと、鈍い音が廊下に響く。
「 _痛ッ……!、 」
「 馬鹿じゃないのか。一体何のつもりだったんだ、… 」
痛がるオペラにウェルは冷たく吐き捨てると、つかつかと歩いていってしまう。
「 、待ってくれ! 今のことは、どうか内密に…… 」
「 _は? 何の話だ。 」
慌てながら言うオペラを一瞥すると、ウェルはさらりと言って、さっさと行ってしまった。一人廊下に残されたオペラは、
「 隠してくれるということは、……期待して良いんだね? 」
そう最後に一言残すと、"いつものオペラ"に戻り、戦争に参加しに行ったのだった。