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ぶらり、ベッドから投げ出された足首が揺れた。赤い瞳は瞬きもせずに天井を眺め続け、感情の色を見えさせない。
「 …寝てないの。 」
声をかけてみれば彼は瞼を閉じ、ええ、と返事をする。窓の外から絶え間なく響く銃声や悲鳴にかき消されそうなほどか細いその声に耳を傾け、狛枝はため息をついた。
「 明日も早いんでしょ、寝なよ。 」
そっと、壊れ物を扱うかのように触れる。シーツに広がる黒い髪に手をやり、指に巻き付ける。そして巻き付けた髪に口付けを送り、また自分も彼の隣に体を横たわらせる。
「 …えぇ。そうですね。明日はまたやることが沢山あります。そしてそれは、全てが完璧に、僕の思った通りに進み、終わっていくのでしょう。 」
ああ、なんてツマラナイ。
お決まりの台詞だね、と笑ってやれば、彼はこちらを見て、本当のことですから、と呟いた。
瞬く赤い瞳は、記憶にある彼の瞳の色とは全く違っていた。