急に船が沈み出した現状に、さすがのフランも慌てた。
フラン「な……何よ!?こんなボロ船を使うなんてありえない!」
まさかこんなにも大きな船が沈没するとは思っていなかったフランは、瞬く間に身動きがとれなくなっていた。
フラン「ちょ……私、カナズチなのに……」
海で溺れたトラウマを抱えているフランにできることと言えば、自身に防御魔法をかけて体温の低下を防ぎ、そしてもがくことだけ。
ユラ「……あのゲス野郎」
そして溺れかけて気絶したフランを抱えてユラは海面へと浮上する。フランに触れた瞬間にユラにも防御魔法の効き目が移り、体温の低下が止まった。ユラの瞳は苛立ちと仕返しの気持ちを孕ませながら陸を見つめている。
ユラ「どうせまだ生きてる……
フラン、私が敵をとってやるわよ」
ユラは、人魚のような速さで陸へと泳いでいく。
陸へ着くまでには、多く時間を要さなかった。
チトキン「チッ、お前たち、あれを撃ち殺せ!」
チトキンは運良く陸に上がった下士官に命じた。だが下士官は顔を引きつらせていった
「まだ部下たちが泳いでいます。このままでは彼らにも当たります。船をやられた以上・・・もう!」
そんなことを許すほどチトキンは優しくない。下士官を銃殺して高級軍人と共に森の方へ逃げていった。