「はぁい、良い子良い子…【ゴォオオオオッ!】ッでっ!?」
(一瞬後ろを向いて少年の頭を撫でた直後に、太い前足が月舟の胴体を薙ぎ払う)
「ぐブッ…ッテぇな…もー【カッ】いぃぃぃ!?」
(倒れ、両肩を掴まれた挙句に全体重を横から掛けられ、後ろ足で腹を引っ掻かれ、頭に噛み付かれ…
月舟はそれに対し、肩は犠牲にして両腕で噛みつきを止め、足でどうにか後ろ足を防ぐ)
「ぃっ…きヒひッ!(ヤッベェ…隙突かれるとここまで…!)」
(普段なら余裕で撃退できた筈…隙と油断はこうも恐ろしいと今になって理解し始める…!)
「…どぉしっ…た…もんかっ!?」
(片手を外して殴ってみるが、まるで力が入らず、効かない…防戦が続く)
……!
(目の前で自分に関わった人物に危機が迫っているのに恐怖で足が竦む)
……
(ふらりふらりと虎に近づく。彼の腕は闇に染まっていた)