>>522
「いいえ、本来ならばこの事は話さなければならないことなのです。あなたが彼を受け持っていた教師であるならばなおさら……
しかし、彼はそれを頑なに拒みました。それは、彼の深い心の傷を抉ることと同じことであるためです。
……彼は、一国の次期国王であります。そのための勉強をさせるためにまた違う学校へと……私の統括する学校へと移すことが目的です。」
表情一つ変えることなく、淡々と話すのみ。
「これ以上の詳細は今は割愛いたします。
彼は、【次元の溝】と言われる時空の歪みに嵌まり、この世界線から大きく離脱していました。今はコントロールもある程度可能になり、歪みそのものも安定しつつありますが、この先また同じことになる可能性があるのです」
次は何を話そうかしら……と、いいよどむ