きみのための物語

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140:◆Qc:2021/12/06(月) 21:55

ふしぎなせかい
すべてがひっくりかえり
すべてがもとどおりに
とうめいだったりにじいろだったり
あるいはきんいろだったり
なんにもみえなかったり
それでも
おかしくはない
そんなせかい
ふしぎなせかい


「──楽、決着をつけに来た」

「······へえ。また来たのか······今度こそ折れるかと思っていたのに」

「······折れない身体にしたのはそっち。今度の私は、これまでの私じゃない」

「それ······ライバルとしてまた負ける奴のセリフだぞ、お前──でも」

神はいった
なにかにきづいた

「でも、その脇差は······駄目だなぁ?」

女性におそいかかる壁
ふしぎないろをした壁
でも、それは
女性からとびでた弾によって
ひっくりかえり、もどってゆく
神はめをみひらいた
たのしそうだった


女性は脇差をぬく
下からのかべをとびこえて
女性はあの銃もマジックハンドももっていなかった
もはやひつようなかった

「これだから面白い······あぁ本当に!」

神はわらう

「人間の可能性は······やはり面白い!!」

あおい剣がうかぶ
それにたいするはしろい脇差
げきとつした

脇差がかった
一瞬あと
脇差は神のどうたいを両断した
──そう、神殺し。




麗花が脇差に付着した不思議な色の血液を払うと、途端にその空間が消えていくのを感じる。
······それと同時に、彼女の身体もゆっくりと消えていく。

「······やりやがったな」
······両断したはずの楽が、いつの間にか現れていた。
「······これでいいんだろ?」
彼は挑発的な笑みを浮かべていた。まるで麗花を誘うように。······その笑みで逆上した者は数知れない。
しかし、麗花はそれでいい。これでいいのだ。


彼女は何も言わずに消えていく。······後には真っ白な脇差が遺されていた。

「······っはー······面倒だな。まったく」
もはや残滓となった麗花に、楽は触れる。そして、神たる所以の力を行使し──
地獄に落とした。

脇差は月に投げられた。




 


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