>>プロト
なんだプロトかぁ。……って誰にも言うんじゃねえぞ。
(自分の後ろから声がしてビクリと身体を強張らせれば緩慢な動作でそーっと振り返り。相手が仲間だと分かれば安堵して気の抜けた返事をするものの、痴態を見せてしまった自分に不甲斐なさを感じほぼ吐き捨てるように釘を刺して。
しかし彼女に会えたのも何かの縁かもしれない。一か八か頼んでみよう。なんせ自分の生死がかかっているのだから。
プライドは最早何処かに消え失せたようで座ったまま相手を見上げれば木の棒で自販機の下を指して言いづらそうな表情で一言。)
ちょっと手ェ貸してくれよ。探し物があるんだ。
(木の棒でさされたさきの自動販売機を見て)
「………どかせられればよいのでしょうか?」
(こてんと首を傾げてそのまま自動販売機に近づき、手を触れさせる)
ふわ…っ
(そう、静かな風が吹いたかと思うと、自動販売機が、その重さを感じさせないようにふわりと浮き上がる)
「…こちらでよろしかったでしょうか、ラウル様」
(ふわふわと浮かせたまま、もういちど彼に向き直り、問いかける)