[ その頃、別地点にて ]
ニンゲンくん共の嫌いなところ、そのいち〜〜!
( 宇宙色の瞳に、肩まで伸ばした、黒の絵の具で強く強く塗り潰したような濃厚な髪は、火花を乗せた風と一緒になびく。その顔は、横に丸顔で鼻がツンと高く、まだまだ幼い印象を抱かせる。けれど、)
まず、ニンゲンくんはさァ!生きてからずっーーと死ぬまで現実逃避してるところだよね。この世に生まれた時点で「不幸」なんだから っ 、その現実を受け入れて、自然の摂理の下で生きていけばいいのに っ!
国家なんていう、「みんな一緒に効率よく現実逃避しましょ?」なーんて歪な人工装置作っちゃってさァ。ほんッと、きもちわるいよねー。
( この言動、子どもの死体をサンダルの底で踏みつけるこの振る舞い、そして何より目の前に夥しい「死体なり掛けの人々」がいるのにも関わらず、彼らの前で堂々と凶悪な笑みを浮かべるその様は、明らかに子どものそれではない )
でも、そういうニンゲンくん共に現実を突きつけるのって楽しいなァ !! ふふ あはははははは ! ! !
楽しい!楽しい!低脳でいてくれてありがとうね!
現実逃避いっぱいしてくれてありがとうね!生きて死んでくれてありがとうね !
ひっ……
(民家の陰で息をひそめる少女が一人。見た目は年端もいかないはずの人物が死体を踏みつける様を見て、思わず悲鳴を漏らす。)