「ぃ、……っつ…………」
「あぁシキ様、シキ様っ!どこに行ってしまわれたのか心配でしたわ!ようやく会えました!」
(もう離さない!と言わんばかりに吹っ飛ばされ壁にぶつかったシキの体に抱きつく、が、かけられた声に振り返ると……)
「……は?なんですの、猿に語る名などありませんわ」
(飛び出てきた言葉は、シキに向けられた甘い言葉ではなく、刺々しい毒であった)
失礼、お客人ではなく獣でしたね。
まるで知性が欠如しているようです。
獣の言葉に傾ける耳などありません。
(あはは、と笑う。目は笑っていない。)