アントロギア

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5:山田さん ( ´∀`):2021/11/22(月) 22:32

次の頁は白紙だった。幾千にも綴られた文字と無機質な白は、区切りがよく丁度半分のところで隔てられている。未だ終わりがないこの物語を何遍も読んでしまうせいか、文字を追うより先に続きが浮かぶようになった。やはり今日も変わりない。「新たなる世界を。」最後の一節を読み終えて、静かに本を閉じる。

「グリモワール、私を呼びましたね」

「さあ、呼んだつもりはないけれど」
「では、あなたの好奇心が呼び寄せたのでしょう」
「唯一腐ることのない感情だからね」
「グリモワール、あなたは知っていますか?」

叡智の魔女は語る。

「なぜ空が色づくのか」
「なぜ星が昇るのか」
「なぜ箱庭が崩れ去ったのか」
「なぜ、天が地に落ちたのかを」

「愚問だね」
「あなたは知りうるでしょう」
「物語の続きは?」

「はい、グリモワール。私は叡智のすべてを知りました。この世に私の知らないことはありません」
「しかし、それではつまらない。あなたが物語に浸るように、私には叡智がなくては生きられない」
「それなら、どうするのかな」

「グリモワール、私は新たなる世界を創ります」
「回り巡る星座や、地に落ちた天や、空に鎮座する人の世がどのように創られたのか、言葉にするのは簡単です」
「退屈なのですよ、グリモワール」

天より深く、星の核に生きる悪魔。魔の世界の上には未だ知らない物語が溢れている。叡智の魔女の姿はない。どこまでも整然と並ぶ悪魔図書館の本棚へ、ボクは『禁断の果実』を戻した。


山田さん ( ´∀`):2021/11/23(火) 00:24 [返信]

【物語の悪魔】
名称:グリム(グリモワール)
物語の悪魔と契約を交わすと、『対象者の記憶』が本となり、召喚権限を得る。また、対象者は不老不死の力を共有することが可能( ´∀`)

【叡智の魔女】
名称:エバ
かつて、箱庭を崩した叡智の魔女。戦うための力はなく、ただ叡智を宿すだけ…まだ見ぬ叡智のためにグリムと契約を交わした。本の題名は「禁断の果実」( ´∀`)

>>7
【999番街】
死者が死後に住むゴーストタウンこと番街都市では、罪の重い者ほど大きな数字の番街にて生活している。中でも最悪と歌われる『999番街』では、地上に未練を残し怪物と化したゴーストを討伐する『ゴーストハンター』の役割が課せられているそうな…( ´∀`)


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