『999番街』
「殺 人、殺 人、殺 人…ああ、なんてこった」
この世に天国なんてあるもんか。
「こりゃあ酷い、よく聞けよ、そこの坊主。えー、これより貴様に番街判決をくだす」
閻魔大王はひときわ大きなガベルを鳴らした。
「──極めて悪質な重罪により、999番街に決定!」
地獄とは、とっくにおサラバした。
──────────
死者の番街。名の通り死者が住むゴーストタウン。1から999までの番街が存在し、数字が大きくなるほど重罪人が集まり過酷な生活を強いられる。主に生前の行いから照らし合わされ、罪の重さと番街を閻魔大王によって判決がくだされるのだ。──つい先刻、「999番街」の呪印を押されたばかりの少年が最悪の地に足をつけネオンライトの下を歩く。「見ろよ、新入りだぜ!」「なんだ、いかにも青臭いガキだな」「あんな奴がここへ来られるなんざ、とうとう閻魔大王の目ん玉も腐っちまったか」石畳の道際に立ち並ぶ建物…否、牢獄の中から住人が顔を出しては次々に吟味の声を口にする。
「お前の牢は最奥にある」
閻魔から告げられた言葉に従い、野次馬の如く住人の声をすべて跳ね除けながら少年はさらに奥へと足を進めた。ネオンライトから一変し、寂れた西部劇のような荒地に佇む牢獄、空を覆う木々がおどろしく枝を伸ばすまるで幽霊のような街道、二転三転する周りの空気を肌で感じていると、次第に暗雲が轟き始めた。雲の上で稲光が鳴り響く。不穏な雰囲気が重たく渦巻いたこの地が、閻魔のいう最奥の牢なのだと悟った。
「──皆が君の話題で持ち切りだよ、君の名前は?」
鉄の扉を叩く前に、中から声が聞こえた。
「オレに名はない」
「ああ、そう…それじゃあ、罪は?」
「人をやった」
「淡々と、淡々と…けれど、驚いた。君は存外普通の人間なのかもね」
「ひとつだけ、僕から君に覚悟の程を問おう」
「……」
「ここじゃ普通は通用しない。なにせ気狂いばかりが集まる地獄の999番街。心なんて辞書にはないのさ、そうでなければ務まらないからね」
「君は『ゴーストハンター』になる覚悟があるかい?」
──天国でも、地獄でもない。ここは死者が住むゴーストタウンの最奥、気狂いばかりの999番街。地上を脅かすゴーストを討伐する義務が課せられるのは、ひとつだけ。唯一無二のこの牢獄だけなのである。
【物語の悪魔】
名称:グリム(グリモワール)
物語の悪魔と契約を交わすと、『対象者の記憶』が本となり、召喚権限を得る。また、対象者は不老不死の力を共有することが可能( ´∀`)
【叡智の魔女】
名称:エバ
かつて、箱庭を崩した叡智の魔女。戦うための力はなく、ただ叡智を宿すだけ…まだ見ぬ叡智のためにグリムと契約を交わした。本の題名は「禁断の果実」( ´∀`)
>>7
【999番街】
死者が死後に住むゴーストタウンこと番街都市では、罪の重い者ほど大きな数字の番街にて生活している。中でも最悪と歌われる『999番街』では、地上に未練を残し怪物と化したゴーストを討伐する『ゴーストハンター』の役割が課せられているそうな…( ´∀`)
続き書いてください。