☆☆探偵チームKZ・G事件ノート part1☆☆

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379:葵子:2016/02/06(土) 16:43


*ゆもん♪*
変にスレあげてごめん。

*黒猫*
うーん、それも勿体無いね〜
2つやっちゃう??


でわ、小説更新。
初回>>98 前回>>364

+青い海原は知っている+


「そしたらっ...右耳、聞こえなくなっちゃったんだ...」

震えた声は細く、弱く。
顔はけしてこちらを向かない。

「...あの後、けっきょくパパも出ていった。
おれは、家族をこわして、信乃の耳をうばったんだ...」

細い、嗚咽が漏れた。毛野は顔をあげ、翼を向く。
毛野の目は身に抱える闇を映し出し、ひかりのない黒を浮かべた。

「あいつ、この間自転車にぶつかった。
ほねは折れなかったけど、危なかった。
まだ補聴器にも慣れてないんだ、ひとりで歩くなんて...」

毛野の目から次々涙が溢れ、頬をつたり落ちていく。

「おれ、どうすればいい?」

泣きながら、問う。

「おれ、信乃がしんぱいなんだ。どうすればいい?どうすれば伝わるかな...」

翼は毛野の頭に、ぽんと手を置いた。

「...多分さ、伝わってるよ。」

毛野が泣きながら翼を見る。
翼は続けた。

「俺がみるとさ、あいつ寂しがってるように見えるよ。
頭では分かってても、自分が前と同じに扱って貰えないのは寂しい。
まだ、自分の気持ちに折り合いがつかないだけだよ。」

毛野の頬をまた涙が伝った。

「ほんと?信乃おこってない?おれまちがってないかな...」

翼は毛野の髪をぐしゃぐしゃっと撫でた。

「ほんとだよ。信乃も分かって、仲直りしてくれるさ。」

夏の日差しも、慰めるようにふっと柔らかくなる。

「うん...もう大丈夫、ありがと。」

暫く経って毛野は言った。
まだ返事は重かったが、翼はそれが泣いたあとだからだと思っていた。

だから、気付かなかったのだ。

毛野の瞳を淀ませるもう1つの理由に。
この事件の、真実に。

_____________

以上!じゃあね〜


葵子◆96:2016/02/08(月) 22:03 [返信]


トリップってこれでおk??

*咲菊*
おひさ!!葵子です♪
こっちでもよろしくね〜

*いろっち*
ありがとう(*^ ^*)

前回 +青い海原は知っている+



_____________

「信乃くん!止まって!!」

彩は信乃を追いかけるうち、砂浜の端まで来ていた。
何度目かの叫び。

ずっと何の反応も示さなかった信乃が、
不意に走るのをやめて砂浜に座りこんだ。

彩は信乃の元に駆け寄った。
切れた息が落ち着かず、なんども肩で息をする。

息が整うと、彩はそっと信乃の表情を伺った。
てっきり悲しんでいるのかと思っていたが、
意外にも信乃は何の表情も浮かべていない。

「むかつくんだよね。あいつ。」

淡々とした物言いには、あどけなさの欠片も残ってない。
彩は先程とは違う様子に困惑しつつ、
信乃を宥めた。

「毛野くんは心配してただけだよ。」

信乃はまるで聞いていないようだった。

「ねえ、おねえさんって誰の味方?」

そういいつつ振り向いた信乃の瞳には、
警戒が強く光っていた。

「...誰の味方って?」

「おれがさ、おばあちゃんちに行かないって行ったら協力する?」

質問の意図が分からない。
戸惑いながらも彩は頷いた。

「信乃くんの意思を尊重するよ。」

ふうん、と信乃は興味無さげに聞き流した。

「おれの意思尊重するならさ、これ届けてきてよ。」

そう言って信乃が渡したのは補聴器だった。

「おれ、今毛野とはなしたくないし。」

「...分かった。」

彩が頷く。信乃は初めて笑顔を浮かべた。

「何も聞かないなんてやさしいね。」

彩も笑う。

「信乃くんに協力するって言ったでしょ。」

「お姉さんを信用して言うけど、
これは毛野との本来の作戦にひつようなんだ。」

「本来の作戦?」

彩が首を傾げる。

「そう。本来はね、ここを脱出するために
信乃とおれが入れ替わるんだ。」

信乃が一瞬目を伏せる。

「...おれが居ないと皆心配するから...」

耳の事を言っているんだと直感した彩も、目を伏せた。

「ちなみに入れ替わったってバレないよ。
...義母さん達はおれらの事、見分けられないもの...」

「信乃くん..」

どうやら信乃達を引き取った父は、再婚したらしい。
あまり、上手くいっていないのだろうか。

彩の視線に気づいた信乃は、無理やり笑顔を浮かべた。

「とにかくそれ、とどけてきてよ!」

「...うん。」

信乃の様子を心配しつつ、彩は翼たちの方へ向かった。

_____________
長くなるんで何度かに分けます。


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