*夜月*
久しぶり〜!!
ありがとね。
では早速書いちゃいます(((
TAYOs、マイマイs、ゆもんs、その他書き込んでる方々、
初めまして葵子です!
小塚LOVEです、でも彩には砂原とくっついて欲しい((
たまに出現しては消えます、よろしくね((
突然ですが更新。
注意!青い真珠は知っているの軽度なネタバレを含みます
"青い海原は知っている"
クーラーの効いた塾から出ると、強い陽射しが容赦なく降り注いできた。
むっとするような蒸し暑さ。蝉の大合唱。
過ごしにくい事この上ない日だった。
交通量の多さは真夏の真昼間とは思えない程多く、
排気ガスくさい空気が夏の暑さを一層引き立てていた。
途端に汗が吹き出してくる。
今頃小塚君達は伊勢志摩か、と彩はぼんやり思った。
(海、いいな...)
8月の、夏の真っ只中でさえ夏期講習は終わらなかった。
...連日の塾より、連日の行き帰りが辛い。暑い。
夏期講習にはkzのメンバーの殆ど来てはいない。
若武・上杉・小塚が伊勢志摩に行く事は小塚から聞いていたが、
黒木の欠席理由は謎だ。
俯きながら歩いていると、アスファルトにふっと黒い影が落ちた。
驚いて後を向くと、彩以外で唯一夏期講習に来ているメンバー、翼が立っていた。
「暑そうだね。」
そう言って翼は涼しげに笑った。彩は暑さからややぐったりした笑顔を返す。
「真夏だから。」
心なしか蝉の声が大きくなった気がする。
ちょっと移動しようか、と言って翼は彩の手を引いて日陰まで移動させた。
日陰はひんやりしていて涼しかった。
(こういうのを紳士というのかな…)
翼の横顔を見ながら、彩は思った。
濃やかな気遣いにかけては黒木といい勝負である。
それがどれどけ凄い事か、若武を見てるとよく分かる。
沈黙が落ちた。
翼にしては珍しく、話題を振らず黙っている
_____というよりは何かを言うか言わないか迷っているようだった。
何を葛藤しているのか、翼の百面相は中々面白かった。
レアだな、と彩はこっそり笑う。
やがて翼は彩に向き直った。
「今日、このあと暇?良かったらさ、海、行かない?」
「....っ行く!!」
突然の翼の提案に彩は一もニもなく飛びついた。
塾は午前中だけだったので、時間としては充分ある。
「お昼まだだよね。一旦食べてから集合するか。」
彩が頷くのを確認し、翼は早口で言った。
「ちょっと遠めのとこ行くから、大急ぎで飯食って12時に駅集合な。いい?」
「分かった。」
すぐ翼と別れ、時計を確認すると11時15分。
12時駅集合はきついと思いつつ彩は家へとダッシュした。
______________________
長いです。それでは!!
*白猫*
お、タメおk?
ありがとね、よろしくー!
*夜月*
青い真珠は知っている、手に入れにくいよね泣
私は片っ端から本屋に在庫確認した〜
数軒目でやっとあった、、、
初回・>>98 前回・ 初回と前回でタイトルが違うけど初回が正しいです!
【青い海原は知っている】
海の定番、波打ち際での城作り。
やろうと言い出したのは彩だが、作り始めると熱中したのは翼だった。
しかもこれがなかなかの芸術作品で、
こぶりながらも素敵な西洋風の砂の城である。
いまはもう仕上げで、レンガをひとつひとつ丁寧に書いている所だ。
周りに脇目も振らず城造りに熱中する顔を見ながら、
サッカーをしてる時もこんな顔なのかなと彩が微笑んだ時だった。
最後のレンガを書き終えてふぅと翼が息を吐くと、辺りは拍手に包まれた。
続くシャッター音。何人かは写真を撮っているらしい。
「おつかれ。凄いよ、翼。」
彩がそう言うと、翼は満足げに笑った。
「うん、頑張った。」
まさに、その瞬間だった。
紅い閃光が空から城へ降ってきた。
「城がっ...。」
誰かが叫んだ。
紅い閃光ともみえたそれは、ボールだった。
突然の衝撃に砂の城はあえなく崩れる。
崩れ落ちた城と、重い沈黙。
破ったのは、場違いに明るい声だった。
「悪ィ、ボールそっち飛ばしちゃったよー!誰か取ってくんねえ?」
小学3年生だろうか、幼い男の子である。
ボールの持ち主らしい。
しかし誰も動かない。
やがて男の子は自分でボールを取りに走ってきた。
なんで誰も取ってくれないの?という顔をして走ってきた。
しかし男の子は崩れた砂の城を見てあ、やっば。という表情をした。
「...別にいーよ。気にしなくていい。」
そうあっさりと翼は言った。
ボールを拾い上げ、男の子に投げる。
「ほら、行けよ。」
「ごめん。ありがと...」
そう呟くとボールを受け取った男の子は申し訳なさそうに走り去った。
______________________
書きながら、私これやられたらキレると思ったw
でわまた( ´ ▽ ` )ノ
ばんわ( ´ ▽ ` )ノ 葵子です!
椿とゆもんめっちゃ話してるねwすごい!
*椿*
うん!よろしくね〜
塾の宿題かぁー、私8割サボってるよ(良い子はスルーすること)
小テストの対策しかやってない(
まあなんとかなるさ!頑張って笑
*夜月*
わかる、私も暇だった笑
ソロ充の宿命っすかね(殴
テストの都合で明日学校行ったらまた休める!!
パラダイスだ!笑
でわ小説更新。
初回・>>98 前回・ +青い海原は知っている+
「や、なんか空気悪くしちゃったな」
先ほどのを気にしてない素振りでそう言って頭を掻く翼を、
彩は心配とともに見つめていた。
そんな彩の視線に気付いてか、翼はにこっと笑う。
「そんな顔すんなよ、せっかくのデートだし」
彩は硬直した。
「デート...なの?」
翼も硬直。
「え、ち、違うの??」
そして落ちる沈黙。
まだ周りにいた野次馬が生暖かい視線とともに去っていく。
寄せては返す波の音が妙に大きく聞こえた。
やがて翼は慌てて言った。
「そっか、kzは男女関係を超えてお互いを成長させてくグループだったな..」
耳まで赤くなって慌てる翼に、彩もどう反応すれば良いかわからなくなってしまった。
(付き合ってなくても、こういうのはデートなんだ...)
軽率に誘いに乗るべきではなかったのかもしれない。
お互い黙っていると、呑気な声が聞こえた。
「kzってなに?」
声の主は、先ほど翼の造った城を破壊した男の子だった。
(あれ、でもなんか雰囲気が違うような)
水着がかわった所為だろうか。
どこか落ち着いたイメージになっていた。
「kzっていうのは、私達は所属してる探偵チームよ。事件をいくつも解決してるの。」
男の子はにこっと笑った。
子供らしいあざとさのある笑顔だ。
「へぇー、ところでお姉さんスタイルいいね!」
「おい、お前何しに来たの?」
翼が不機嫌そうに男の子に声を掛けた。
「綺麗なお姉さんを困らせるヤツを倒しに来た、かな」
翼はイラッとしたようだ。
男の子が重ねて反論しようともう一度口を開いた所で、
後ろから別の男の子が駈けてきた。
近寄ってきた二つの顔を見比べ、彩は呆然とした。
それもそのはず、並んだ二つの顔はそっくりだったからだ。
______________________
ミステリーの禁断を侵す事にしました、はい((
でわまた( ´ ▽ ` )ノ
砂原の出し方真剣に悩んでくれてありがと。
でも出すの難しいようだったら居なくても全然構わないんで!
出してストーリーが複雑になると書きづらいしね汗
椿がいうように、外国を舞台にすると価値観の差が
小説に浮き彫りになりそうだよね、、、、
私も日本を舞台にするので賛成かな〜
*椿*
春からの新入生の入試の都合で休みだよ〜
在校生は学校に来てはアカンという事です。
でわ小説更新。
初回・>>98 前回・
+青い海原は知っている+
近寄ってきた二つの顔を見比べ、彩は呆然とした。
それもそのはず、並んだ二つの顔はそっくりだったからだ。
二つの顔は笑う。
「俺ら双子です!」
赤と黒の水着の、後から来た方、そしてボールをぶつけた方が頭を下げた。
「さっきはごめん!」
水色と白の水着の口が達者な方は納得したように頷いた。
「ああ、城壊されたのはお兄さんだったんだね。」
翼は怒ってるかな。
と思いちらりと翼を盗み見るとなんだか悲しそうな表情をしていた。
何故だろう...。
そんな疑問を、真剣な声が吹っ飛ばした。
「そういえばkzって探偵チームなんだよね?」
声の主は、水色と白の水着の男の子だった。
「俺らの依頼、受けてくれない?」
先ほどの軽薄そうな、それでいて落ち着いた雰囲気は影も形も無い。
目には暗い影が落ち、表情を読み取る事は叶わないが、
軽い気持ちで受けてはならない依頼だと声の調子だけで伝わってくる。
「...もちろん、受けるよ。」
その真剣さに応えるように、静かに、それでいて鋭く翼が言った。
空気が変わったのを彩は肌で感じた。
ゆるく吹いた潮風さえも妙に冷たい。
そんな空気を破るように、赤と黒の水着のほうがにこやかに言った。
「じゃあ共犯だね。取り敢えず名前教えてよ。
俺は信乃(しの)。こいつは毛野(けの)ね。」
どうやら、赤と黒の水着の子は信乃、水色と白の毛野というらしい。
「私は彩、こっちが翼。
信乃と毛野なんて素敵ね。腕に痣でもあるのかな。」
彩の言葉に、毛野がピクっと反応した。
「違うけど、苗字が里見なんだ。面白いでしょ?」
信乃も自慢げに繰り返した。
「痣はないけど苗字は里見で、お父さんは大輔っていうんだぜ!」
翼はぽかんとして成り行きを見ている。
彩は説明した。
「江戸時代に滝沢馬琴が書いた、南総里見八犬伝っていう本が
信乃クンと毛野クンの名前の由来になってるの。長編だけど面白いよ。」
「南総里見八犬伝と滝沢馬琴は知ってるよ。
でも内容までは知らなかった。」
翼が感心したように頷く。
信乃が嬉しそうに言った。
「彩、よく知ってるよね。
学校では変な名前って馬鹿にされるから嬉しい!」
名前の由来を知っていた事が余程嬉しかったようだ、
さっきと比べ人懐こくなっている。
翼はそんな様子を微笑ましそうに見ていたが、
やがて毛野に疑問を投げ掛けた。
「それで、依頼って?」
______________________
双子の名前決めるのにめちゃ苦労しました。
....なぜこうなった....
でわでわ!
ユカさん、すごい荒らしてるね。汗
まあ、無視かな??w
*威月*
いきなり呼びタメでゴメンねm(_ _)m
葵子です、よろしくね〜
あの、リレー小説ダブってない??
私とゆもんが書いたやつと、白猫が書いたやつと。
どーする?どっち続ける??
でわ、小説更新。
初回・>>98 前回・ +青い海原は知っている+
翼はそんな様子を微笑ましそうに見ていたが、
やがて毛野に疑問を投げ掛けた。
「それで、依頼って?」
毛野は急に真剣そうな表情に変わる。
「信乃を、祖母の家まで送ってほしいんだ。」
そしてちらり、と海辺で寛ぐお婆さんと女の人を見やる。
「あの人達に、気付かれずに。」
あの二人の保護者だろうか。
そんな想像を巡らせている間に、翼は毛野と話を進め始めていた。
「おばあちゃんの家までどれくらい掛かるの?」
「電車乗り継いでいっても、駅まで歩く時間を合計すると片道で小一時間は掛かる。」
翼はぱちぱちと目を瞬かせた。
「とんぼ返りしたって2時間掛かる。その間バレないようにって、無理じゃね?」
今は四時なので帰ると六時になる。
二時間経ったら日も傾く。気温も下がり海で遊ぶには向かない時間になる。
そんな時間まで子を放る親には見えなかった。
毛野は首筋を掻いた。
「やっぱ無理か。じゃあバレてもいいから、せめてばあちゃんちまで送ってやってくれない?」
彩は眉をひそめた。
「帰りはどうするの?」
信乃は元気いっぱいで手を挙げる。
「おれ、一人でも帰れるよ!」
瞬間、毛野が信乃をきっと睨みつけた。
続いて、申し訳なさそうに彩と翼を見やる。
「危ないから...申し訳ないんだけど帰りもここに送ってほしい。」
確かに、そんな遅い時間に小学生がひとりは危ないかもしれない。
しかも知らない場所だし。
そう納得した彩の横で、信乃がおおきな声を出した。
「それっておれの耳が聞こえなくなったから?」
彩が驚いて信乃の顔を見る。
翼は知っていたのか特に表情を動かさなかった。
そう意識してみると、
信乃の右耳には小さな補聴器が付いている。
毛野の顔がすっと青ざめる。
慌てて、弁明するように言った。
「そういう事じゃねえよ。
二時間かかったら遅くなっちゃうから頼んでんだろ。」
信乃はぎゅっと眉を寄せた。
「うそつき。前だったらこの程度ならできるって、
言ってくれただろ。」
ざくり。
そんな音が聞こえてきそうだ。
毛野は傷つき、泣きそうな顔をしながら信乃に叫んだ。
「そんなん、しょうがねえよ!実際、前と今じゃあ違うんだから!」
毛野の表情を見て、信乃も傷ついた顔をする。
「おれはなんにも変わってない!変わったのは...変わったのは毛野がおれを見る目だけだよ!!」
信乃はそう怒鳴り散らすと、ばっと駆け出した。
彩がちらっと翼に目配せをし、信乃を追いかけ走っていった。
_____________
二人の姿が小さくなり、人混みの向こうに消えると、
毛野は砂浜にへたり込んだ。
そしてぎゅっと膝を抱え、座る。
翼は何も言わず、毛野の隣に腰を降ろした。
そのまま、どれくらい経っただろか。
波音に紛れそうな細い声で、毛野がぽつり、呟いた。
「...小2の頃さ、おれたちの家荒れてたんだ。」
毛野はぎゅっと、膝の中に顔を埋めた。
「その時信乃は耳が聞こえにくいって言い出した。
でも、ママもパパもイライラしてたし、
それぐらいがまんしろっておれ言ったんだ。」
毛野の声が不意に高くなり、震えた。
「そしたらっ...」
_____________
以上!じゃあね〜
*ゆもん♪*
変にスレあげてごめん。
*黒猫*
うーん、それも勿体無いね〜
2つやっちゃう??
でわ、小説更新。
初回>>98 前回
+青い海原は知っている+
「そしたらっ...右耳、聞こえなくなっちゃったんだ...」
震えた声は細く、弱く。
顔はけしてこちらを向かない。
「...あの後、けっきょくパパも出ていった。
おれは、家族をこわして、信乃の耳をうばったんだ...」
細い、嗚咽が漏れた。毛野は顔をあげ、翼を向く。
毛野の目は身に抱える闇を映し出し、ひかりのない黒を浮かべた。
「あいつ、この間自転車にぶつかった。
ほねは折れなかったけど、危なかった。
まだ補聴器にも慣れてないんだ、ひとりで歩くなんて...」
毛野の目から次々涙が溢れ、頬をつたり落ちていく。
「おれ、どうすればいい?」
泣きながら、問う。
「おれ、信乃がしんぱいなんだ。どうすればいい?どうすれば伝わるかな...」
翼は毛野の頭に、ぽんと手を置いた。
「...多分さ、伝わってるよ。」
毛野が泣きながら翼を見る。
翼は続けた。
「俺がみるとさ、あいつ寂しがってるように見えるよ。
頭では分かってても、自分が前と同じに扱って貰えないのは寂しい。
まだ、自分の気持ちに折り合いがつかないだけだよ。」
毛野の頬をまた涙が伝った。
「ほんと?信乃おこってない?おれまちがってないかな...」
翼は毛野の髪をぐしゃぐしゃっと撫でた。
「ほんとだよ。信乃も分かって、仲直りしてくれるさ。」
夏の日差しも、慰めるようにふっと柔らかくなる。
「うん...もう大丈夫、ありがと。」
暫く経って毛野は言った。
まだ返事は重かったが、翼はそれが泣いたあとだからだと思っていた。
だから、気付かなかったのだ。
毛野の瞳を淀ませるもう1つの理由に。
この事件の、真実に。
_____________
以上!じゃあね〜
こんばんわ(*^o^*)
*黒猫*
あざあっす!!
黒猫も頑張ってね( ´ ▽ ` )ノ
初回・>>98 前回・ +青い海原は知っている+
信乃の姿が見えると、毛野は安堵の息をついた。
信乃は相変わらず怒っていて、毛野の目をみようとしない。
毛野はその事を悲しそうにしていたが、
直接口に出すことは無かった。
ただ、水着を交換する際に、
「ホントにおばあちゃんの家いくんだよね?」
と探りをいれてきただけだった。
彩は嘘を突き通す自信がなく、下を向いていた。
毛野と水着を交換して、問題となったのは服だった。
まさか水着で街へは出れない。
彩と信乃は祖母の家に行くつもりは毛頭無いので、
失念していたのだった。
彩は着替えを持っているが、
信乃達の服は当然義母が持っている。
気付かれずくすねるのは不可能だった。
仕方が無いので海の家で服を買う。
丁度良いサイズが無く、
だぼだぼのTシャツに水着という格好で落ち着いた。
なんだか不恰好で、ちょっと幼く見える。
彩がそう言ってクスクス笑うと、
信乃はちょっと恥ずかしそうにそっぽを向いた。
そのまま2人一緒に砂浜を出、近くの遊歩道を歩いていた時だった。
唐突に、信乃が言った。
「おねえさん、ごめん。おれおねえさんの事だましてた。」
意味がわからずきょとんとする彩に、信乃はさらに言葉を重ねる。
「さっきほちょうきわたしたの、
ホントはおねえさんを信用できるかみはるためなんだ。」
そう言って、申し訳無さそうに俯く。
「でもおねえさん、おれのこと何も言わなかったね。
会話、見てたんだ。」
どこで。と彩が聞く前に信乃は唇を指した。
「どくしんじゅつ。おぼえたんだ。」
読唇術。その名の通り唇の動きから音を読み取る能力だ。
片耳が聞こえないことを不意に思い出す。
彩はばつが悪く下を向いた。
「おれがおばあちゃんの家にいけないホントの理由、話すよ。」
そう言って信乃が語り出したのは、
意外にも打算に塗れた、さっきのやりとりの側面だった。
「最初からおかしいと思ったんだ。
こっそり抜け出しておばあちゃんに会いに行こうだなんて...
いつも、そういう事をいいだすおれを毛野がとめてたのに。
でも、さっき話してわかったよ。」
信乃はぱっと顔を上げた。
その目には、深い怒りがぎらついている。
「あいつはおれを追いはらいたがってる。
つまり、今日ここでおれに見られたらまずいことをするんだ。
だから、おれは毛野をみはる。」
太陽の光を背に受け、表情は逆光でよく見えない。
しかしその剣幕に、思わず彩はたじろいだ。
「思いすごしかもよ...?」
信乃は笑った。
「ううん。おれわかるんだ。
毛野は今日、お母さんと会うんだよ。」
笑みからは寂しさが滲み出ている。
子供とは思えない、諦めと理不尽に耐える笑顔。
見るに耐えなくなって、彩はぎゅっと信乃を抱きしめた。
「おねえさん..?」
不思議そうな信乃の声。
彩は抱きしめた腕を離さず、無理に笑った。
「大丈夫、私協力するよ。」
信乃くんの気がすむまで、という言葉は飲み込む。
正直に言えば、彩はこの時、信乃の言う事を信じていなかった。
ただの思い過ごしだと思っていた。
本当は、信じていなかったのだ。
_____________
くそ長い。ごめんね〜
こんばんわ。
*コアラs*
初めまして!葵子です(*^ ^*)
呼びタメしていい?私はおkです、よろしくね〜!
*白猫*
うん、是非書いて!!
楽しみにしてますね。
初回>>98 前回 +青い海原は知っている+
あの後信乃と彩は、
海の後ろの雑木林に隠れて毛野達の様子を見ていた。
見張り始めて数十分で、事態は激変した。
「義母さんが、けのがいない!って言ってる...」
ここまで声が届かないため、読唇術で
信乃が実況する。
最初に気付いたのは信乃と毛野の義母だった。
信乃と毛野が入れ替わった事には気付いていない。
「やっぱり、おれが聞いてたけいかくとは違う...」
毛野から聞いた、と信乃は言う。
信乃行方不明の発覚はなるべく遅らせると。
なのでいくらなんでもこれは早すぎる。
故意に、気付かせたとしか思えなかった。
「毛野がなんか言ってる。
お、れ...か?け..おおさかす...た..い..大丈夫、..こ..お..いいしゃんがいる?」
唇の動きだけでは会話を読み取るには限界があった。
しかし、彩がその言葉を読み解いた。
「おれが毛野を探す、大丈夫、このお兄ちゃんがいる、だと思う...!」
信乃が毛野(信乃に変装中)を食い入るように見つめた。
「ひとの少ないほうへいってる!」
追いかけるまでも無かった。
何故なら、毛野と翼はまっすぐこちらへ向かっているのだから。
_____________
長めなので二回に分けます。
初回>>98 前回 +青い海原は知っている+
どんどん近付いてくる2人に息を飲む。
這いずるようにして竹林の奥へ引っ込む。
「嘘...バレてる?」
呟く彩の口を信乃が手で塞ぐ。
「しぃっ!」
毛野達はどんどん進んで...竹林の前で止まった。
「おまたせ。」
竹林の前で立つ『誰か』に、毛野が声をかける。
彩たちに気付いた訳では無いらしい。
とりあえずそれに安堵する。
「いえ、よく来てくれたわね。」
澄んだ女性の声が聞こえた。
ひゅっと、隣で息を呑む音が聞こえた。
「まさか...!?ほんとに、かあさんだ...」
切れ切れに、聞こえる抑えた声は、
細く、弱く、糸のようだった。
_____________
「毛野、そちらのお兄さんは?」
信乃と毛野の"かあさん"が聞く。
「表の計画にきょうりょくしてくれた人だよ。」
毛野が答える。
翼は混乱しているようだった。
「どういう事?表と裏って何?この人って誰だよ。」
「巻き込んでしまってすみません。こちらの話ですわ。」
完璧な、淑女の笑顔。
しかし、目には狂気と欺瞞が渦巻いている。
翼は居心地悪そうに息を詰める。
そして、微笑んだきり毛野とかあさんは会話を続けた。
「ここにいるのは、信乃には知られていないのですね?」
「...しられてない。」
かあさんは平然と問うた。
その質問のあいだじゅう、ずっと隣で黙ってる信乃。
小刻みに震えていて、いまにも消えてしまいそうだった。
彩が信乃をぎゅっと抱きよせる。
「本当に、貴方は私の子供に戻るのですね。」
信乃は弾かれたように顔を上げた。
その目は開かれ。目一杯に恐怖が塗りたくられていた。
毛野はこの世で最も残酷な言葉を吐いた。
「うん。」
_____________
信乃くん、裏切られます。あと3話(ぐらい)で完結!!
また来ました。葵子ですw
*白猫*
感想あざす( ´ ▽ ` )ノ
転入生ってやっぱフラグですねえ。
というか彩と日向達がいるクラスって最強そうw
続き楽しみにしてるね(*^ ^*)
でわ、小説更新。このシーン書くの難しすぎて、
テンション壊れてます。かなり荒いけどごめんね。
初回>>98 前回 +青い海原は知っている+
彩の腕の中から信乃が消えた。
正確には少年はまだ彩の腕の中にいるけど、
それはもう信乃じゃ無かった。
理不尽に傷つけられた心には、もう何かを思う隙間が無い。
全ては終わった事だった。
彩の手の中から信乃は消えてしまった。
手の中の空虚に、彩は何も与える事ができない。
「だって、そうしたら信乃の耳はもとに戻るんでしょう?」
毛野の問い。
双子の片割れの声は、空虚に一瞬だけ人格を与えた。
一瞬の人格は、決定に抗い。
一度だけ手を伸ばした。
突如竹藪から立ち上がり、
信乃は文字通りの傷だらけで片割れに飛びかかった。
「毛野!!」
毛野はびっくりした。死ぬほどびっくりした。
いない筈の片割れが傍にいる。
自分の、裏切りを、聞いていた?
さーっと、文字通り青ざめ。
首元に飛びかかった信乃を、毛野は恐怖の目で見つめた。
思考停止状態。
永遠に続きそうな沈黙は、信乃によって破られた。
「おれの、耳はなおらない!」
大声で叫んだ信乃に、毛野は一瞬裏切りを忘れて言い返した。
「でも...しゅじゅつすれば!」
信乃は大声で言い返す。
「さいしょのの一ヶ月で、
ちりょうしなかったらもう駄目!いまさらおそいの!」
「でも..かあさんは治るって!」
大声の言い合いに、義母が気付いたらしい、駆けつける。
かあさんはばつが悪そうな顔をする。
「うそだ...」
毛野がかあさんの表情の意味を読み取り青ざめる。
「それじゃあ...おれは...おれは...」
______________
以上、毛野くんの絶望でした。
でわでわ!
*白猫*
感想ありがと♪インフル!?お大事に...!
私も感想を笑 アーヤ超焦ってるね!!
どう切り抜けるんだろ!?
頑張れアーヤ!そして白猫も、インフル乗り越えてね〜
でわ小説更新。一文重複してます。
初回>>98 前回 +青い海原は知っている+
「それじゃあ...おれは...おれは...」
毛野が呟いたその時。
絶望の雰囲気を、張りのある女性の声が切り裂いた。
「しのーっ!けのーっ!」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、
見るからに若い義母は2人にだきついた。
「両方いなくなってどうすんのよ!
心配したじゃないのーっ!」
信乃も毛野もぽかんとした。
その目にだんだん涙が溢れ、溢れ。
やがて2人とも泣き出した。
いきなりの涙の大合唱に戸惑いながら、養母は、
「ああもう2人とも泣き出して!」
と自分も泣きながら2人の涙を拭いてやっている。
「いいお母さんだね。」
翼も、苦笑して頷いた。
「どうやら、すれ違ってただけみたいだね。」
毛野が後から話してくれた話はこうだった。
ずっと連絡の無かった実母からある日、
毛野に連絡があり。
その内容が自分の跡取りになれば、
信乃の耳を治すというものだった。
信乃の耳について責任を感じていた毛野は、
提案に乗ってしまおうとした訳だ。
「おれの耳はどうせ治んないし、
おれは耳より毛野のほうが大事だよ。」
そう信乃は言って毛野の頬をつねった。養母も、
「今はまだ見分けらんないけど、
いつかかあさんって呼んでもらえるように頑張る。」
そういって2人の子供を脇に笑う姿は、
ちぐはぐで不器用だけど家族だった。
ひとつ、生まれた家族と、
ひとつ、散った家族と。
大海原だけが変わらずに、ざざーんと波を返すのみだった。
「さよならー!」
家族に手を振り、別れる。
日が暮れかけ、朱に染まる空。
長く伸びる影を見ながら、彩はつぶやいた。
「遊びに来たのに、なんだか疲れちゃった。」
翼が応える。
「でも、なんだか貴重な体験だね。」
不意に体を傾け、彩の顔を覗き込みにやりと笑う。
「また来る?」
彩も笑った。
「そうだね。考えとく。」
朱に燃える空と、海と、太陽と。
あの家族をこの砂浜で見ることは、
きっと一生無いんだろう。
なんだか、それがとても嬉しかった。
_____________
最終話です!完結です。
次回、おまけ&お知らせです。笑 でわでわ!