小説更新するよ〜
前の回>>632
先生は静かになったのを確かめると、話し出した。
「今日は紹介したい人がいます。入ってきていいよ。」
数秒後、教室の前の扉がガラッと開き、女の子が出てきた。髪は右耳の近くで一束に結っている。
「今日からこのクラスの仲間になる、柏崎さんです。」
周りからどよめきの声が上がった。
私もちょっと意外。
彼女はチョークを取り、黒板にきれいな、整った字で「柏崎七音」と書いた。
「初めまして。私はカシワザキナナネです。茨城県の櫻南中から来ました。これからよろしくお願いします。」
七音と名乗った女の子は一礼した。まだザワザワしているクラスに向かって、先生がパンパン、と手をたたいた。
「席は、神野さんの隣です。では出席を取ります……」
私は出席を取っている合間に、柏崎さんの方をチラッと見た。白人以上、小麦色未満の肌にうっすらと茶色がかかった黒っぽい髪。横にまとめた髪は、ふんわりとしていて、肩で揺れていた。
翼も来て、柏崎さんも来て。このクラスって恵まれているなぁ、転校生に。
そのくらいに思っていた。
この人物が、KZに深く関わることも予想せずに、ね。
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前回
2.アプリ
その放課後もいつも通り、一旦家に戻った。
「ただいまー。」
「おかえりー。」
私はそそくさと手を洗いに言った。
私、潔癖症で、帰ってきたら手を洗わないと気がすまない。
だって、手に知らない人のばい菌がうじゃうじゃしているのって、気持ち悪い。
手を洗って洗面所を出ると、電話の呼び出し音がなり始めた。
「あら、電話だわ。彩がお願い。ちょっと手が離せないの。」
ママが言うが早いか、私は電話機に駆けつけた。
電話機のところまで行って番号表示のウィンドウを見ると、そこには見慣れた番号が光っていた。
小塚君が、家からかけてきていたんだ。
きっとKZの集合の知らせに違いない。
私の胸が躍った。
「はい、彩です。」
「僕だよ。若武から連絡で、今日の秀明の休み時間にカフェテリアに集合だって。」
やった!
期待で胸が高まる。
「何?事件?それともアプリ開発の…」
今、私たちKZは経費の問題に直面している。
私は記録係だから、皆に配るコピーやノート代は、自分で出している。
調査地に行く時の交通費とかも、ね。
黒木君なんかは、「赤い仮面は知っている」の中でタクシーチケットをみんなに渡したこともあったから、大変なんじゃないかと思う。
だから、KZではアプリ開発をしてお金を集めようと思っているんだ。
「うん。」
当たり!
「七鬼とは妖怪パソコンで話すって若武が言ってるから、アーヤは妖怪パソコンをよろしく。」
「分かった。連絡ありがとう。」
私はそう言うと、電話を切った。