続き書くにゃん!
そこに、若武が割りこんで来た。
「ちょっと貸せよ。俺、それもっと間近で見たい。」
「えっ、何で……」
若武が両手で、柏崎さんの腕から奪い取るようにしてオルゴールに手をかけた。けれど、柏崎さんも踏ん張る。
「いやだ、何でっ」
翼がいらだった感じで言った。
「若武、何やってんだよっ」
その時。柏崎さんと若武が少し手を緩めたらしく、オルゴールは真っ逆さまに床へっ!
柏崎さんが息をのんだ。
「ちょっとっ!」
若武が落ちたオルゴールを拾い、ほこりをはらう。
「すまん。少し音楽だけ聞きたかったんだ。」
「……いいけど。流して。」
若武はネジを巻き、蓋を開けた。
「んっ!?」
「えっ!!」
小塚君と私が声をあげたのは、ほぼ同時。
黒木君、上杉君、翼、若武、柏崎さんも驚いた顔をしていた。
なぜなら。
美しく青きドナウと似ているけれど、同じようで違う曲が流れたから!
「これは、大事件になりそうだぜ。」
若武が、不敵な笑みを浮かべた。
「はぁ?根拠もないのに何言ってんだよ。」
上杉君が顔をしかめた。
確かに、若武は突拍子のないことを言う。でも、当たることが多いんだよね、若武の予想って。
でも、それを口に出して言うと、若武は調子に乗る。
『俺、モッてるから!』
って、ね。
「……かもしれない。1つのオルゴールに2つ、香箱とシリンダー、ガバナ、振動板、フレームをいりれることってあまりないと思う。」
翼の言葉に、私は思わずきょとんとしてしまった。
「香箱とシリンダー、ガバナ、振動板、フレームっていうのは、オルゴールの中にある部品。音を出すのにいる。」
黒木君が説明してくれた。
じゃあ、何か意図的に、1つのオルゴールに2組、音を出すのにいる部品を入れたってこと?
「そうかもしれない。若武は予想したことが当たる確率、すごいからね。これまでに、それで事件を解決したことは何度もある。」
その言葉に、若武が気分を良くしたみたいだった。
「ほらな、黒木も言ってる。しかも、『確率』って言ったぞ。上杉、これはお前の得意分野、数学にもよく出てくるはずだ。」
ああ、若武劇場が始まるっ!
若武は皆が言うように、人をそそのかす名人。人を時に怒らせ、泣かせ、笑わせて、人の行動を自分の思うように持っていく。初めは(あ、また始まった)と思っていても、だんだん心が操られ、最終的には若武の話を信じきってしまう。これを、私たちは『若武劇場』と呼ばれている。ここから、若武は将来の職業は詐欺師がぴったり、と言われるようになったんだ。
「知ってるよな。俺は、その勘で事件を解決してきたんだ。上杉、北原美麗のこと、覚えてるよな。東条渚も。あの事件で上杉、あんたの心を救ったのは、この俺の勘なんだ。」
若武が額をつついて、『俺の勘』という言葉を強調した。
「俺が、裏調査を勘で勧めたから、お前は立ち直れたんだ。どうだ、これでも俺の勘が当てになんないと言うか?」
かなり上から目線に言われたけれど、上杉君はため息をつきながら渋々頷いた。
「もう、いい。あんたには何言ってもかわんねーもん。」
ああ、丸めこまれた……。国語担当の私にとって、若武の発言は、もう、無茶苦茶。
上杉君でも、詐欺師若武には勝てなかったみたい。
「よし、諸君!もう、予鈴が鳴る。そこで、だ。柏崎、このオルゴール、小塚に貸してもいいか。」
「いいけど。分解とかしないでよ。音が鳴らなくなったら嫌だから。」
「……ということで、小塚調査員。オルゴールの中身を調べろ。音を出す部分が2つあるかどうか。それと、記録係。このこと……事件とはまだ言えないが、一応ノートに記録してくれ。では諸君。健闘をいのる!」
私と翼と柏崎さんと小塚君は、若武のまたしても無茶苦茶な発言に、ため息を漏らした。
「まあ、黒木も若武の勘に頼ってるしね……」
「黒木って、このKZの中で一番大人びてるし。ぶっちゃけ、黒木が言うなら……調べるよ、って感じ。」
「しょうがないよね。私もオルゴール、どういうことになってるのか知りたいし。」
そうだよねえ。
(ここでまとめて)了解!
>>829
すごっ!例えば
若武劇場で上杉君にたいしての
例え方とか。
よく思い付いたよね〜!羨ましい…
でも、「私たちは『若武劇場』と呼ばれている」って読んでて[ん?]って
思っちゃったんだ…、ごめんね!
本気の感想述べるなよって感じだよね
>>832
(これもまとめて)りょーかい!
小説待ってるね(^^)/