『〈キセキ〉は知っている』上杉×アーヤver.
♪「君のくれた日々が積み重なり 過ぎ去った日々2人歩いた『軌跡』
僕らの出逢いがもし偶然ならば? 運命ならば?
君に巡り合えた それって『奇跡』」
私が鼻歌を歌ってると、背後から上杉君の声がした。
「立花、鼻歌歌ってるなんて珍しいな。なんか良い事あったのか?」
「久しぶりにKZの集合あったから、嬉しくなっちゃって。」
上杉君が私の横に並ぶ。
「なぁ、『きせき』の意味知ってるか?」
「え、どっちの『きせき』?常識で考えたら起こりえない『奇跡』、それとも轍(わだち)って意味の『軌跡』?」
どっちの『きせき』か分かんないから、訊き返した。
「あ、轍の方。」
そっちかぁ。上杉君らしいような気もするけど。
「『軌跡』は車輪が通った跡とか、先人の行いの跡、物事やある人が辿ってきた跡って意味だよ。」
「正解。さすが、国語のエキスパートだな。」
よかった、合ってたぁ。
「でも、数学用語としての軌跡は知ってるか?」
「え?数学用語としての軌跡?」
思わず、上杉君の顔を見上げると、偶然、上杉君も私を見つめていた。
実際は2、3秒だった筈なのに、長い時間見つめあっていた気がする。
ふと気付き、思わず熱くなった頬を隠すように俯いた。
上杉君もそっぽを向いたけど、耳が赤く染まってる。
「ごめん、私、数学苦手だから分かんない…。」
「数学用語の軌跡は、点が一定の条件に従って動く時に描く図形の事を言うんだ。」
「へぇ…。」
うぅ、ピンとこない…。
私が理解出来てない事を悟ったのか、上杉君が例を挙げてくれた。
「例えば、定点から一定の距離を保ちながら動く点の軌跡は円となる。とか。」
「うーん…。」
「ほら、コンパスと同じだ。定点はコンパスの針が刺さってる場所。2本の脚を固定させて、定点から一定の距離を保つ。鉛筆で描いた線は動く点の軌跡になる。」
頭の中でイメージしてみる。
…おぉ!すごい!
「解った!上杉君の説明すごく分かりやすいね!ありがと!」
お礼を言うと、また上杉君の耳が赤く染まった。しかも、今度は顔も赤くなってるみたい。
また、すぐにそっぽ向かれちゃったけど…。
「別に。こんぐらいの説明でいいなら、いつでも出来る。」
そう言った上杉君は、照れ隠しかさっきまで私が歌ってた曲を口ずさんだ。
♪「君のくれた日々が積み重なり」
♫「過ぎ去った日々2人歩いた『軌跡』
僕らの出逢いがもし偶然ならば? 運命ならば?
君に巡り合えた それって『奇跡』」
私も一緒に口ずさんだ。
上杉君のテナーと私のソプラノが合わさって、綺麗なハーモニーになる。
「なぁ、俺らの出逢いって偶然かな、それとも運命?」
「さぁ、分かんない。でも…、上杉君に巡り合えた、それって『奇跡』だよ。」
「俺、『奇跡』をもっと大きな『奇跡』にしてもいいか?」
「え?」
どういう事だろう。私は首を傾げた。
「立花の事、好きだ。」
「…え⁉」
上杉君は、またまた真っ赤になった顔を手で扇ぎながら歌い出した。
♪「2人フザけあった帰り道 それも大切な僕らの日々
「想いよ届け!!!」と伝えた時に 初めて見せた表情の君」
私は頷いた。
「え…!」
歌が止まり、上杉君の口から声が漏れる。
強気で告ってきた筈なのに。
いざとなると信じられなかったのかな。
♪「少し間が空いて 君がうなずいて」
私が歌い出したら、上杉君も続いた。
♫「僕らの心 満たされてく愛で
ぼくらまだ旅の途中で またこれから先も
何十年続いていけるような未来へ
例えばほら 明日を見失いそうに 僕らなったとしても…
2人寄り添って歩いて 永久の愛を形にして
いつまでも君の横で 笑っていたくて
アリガトウや Ah 愛してるじゃまだ足りないけど
せめて言わせて 「幸せです」と」
「永久の愛、形に出来たんだな。」
上杉君が呟く。
「いつまでも君の横で笑ってたい。」
私が微笑む。
「『アリガトウ』『愛してる』じゃまだ足りないけど。」
「せめて言わせて。」
私たちは顔を見合わせた。
「幸せです!」
皆が書いた小説を合わせればすごく長くなると思うけど、
リレー小説で書く1人1人の小説は、そんな長く書かないよ〜
大体、私が>>145で書いた小説よりちょっと長いくらい?
だから、それだと普通のリレー小説になっちゃうんだけど…