アーヤside
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「なにそれ、めっちゃ楽しそうじゃん!」
「いや、楽しそうじゃなくて楽しいでしょ! 確実に!」
私が通っている秀明。
いつもうるさいけれど、今日はいつもより格段にうるさい。
なにがあったんだろう? と騒いでいる中心部に向かってみると、掲示板にこう書いてあった。
『ハイスペック精鋭ゼミナール、晃明と共に、林間学習を行うことになった。KZの試合などもあるため、KZメンバーは全員強制参加とする。その他、成績が優秀なもの、その者達が一緒に行きたいと言った者を連れていく。選ばれたメンバーは用意しておくように。日程などは〜』
その下の文字は、人に隠されて見ることは出来なかったけど、大事そうな所は全部見れた。
多分、シンデレラの時みたいに、KZで事件を解決するんだ! みたいになるんじゃないかな?
そうしたら、行くって決まってるメンバーは若武、上杉君、黒木君、小塚君、ハイスペックの翼と……そこまで来たらフランスの時みたいに私は推薦されて入ると思うし、あとは忍だけ。
うん、若武が張り切ってなにかやるのは目に見えてる。
「おい、立花!」
振り向くと上杉君。そして周りの人の視線。
集合があったの? と聞くと、どうやらそうだったみたいで、昼休みに集まることになった。
この前と同じく、上杉君が睨みを効かせて、見物客は誰もいない状態、だったけどね……。
***
「アーヤ、遅いぞ!」
「まあまあ、まだ七鬼が来てないからさ」
膨れてる若武を沈める小塚君。その隣が空いていたからとりあえずそこに座った。
「もう始めちゃえば? あいつにはアーヤが、丁寧に丁寧に説明してくれるだろうし?」
アイドル王子の時の事をまだ根に持っているらしい翼に、翼があの状態だったとしても、私は丁寧に説明したよ? って言うと、満足げに若武の方を見ていた。
耳が少し赤かったのは私はなんでか分からないけど。
「では、この偉大なるKZセブンのリーダー、若武和臣が、これから話をする。諸君、よく聞いておくように。」
上杉君は、いつもどうりおえっとしていたが、周りも苦笑い。どんどん修飾語が増えていっても、止められる人は居ないからねえ……。
「網走に行くことになったのは、皆知ってるよな?」
みんなうんうん、と首を縦に動かす。
「それでだ! フランスの時のように、事件を解決しようと思う! 今回こそは金をとるぞ! 自転車を買うんだ!」
上杉君がやっぱりか、とても言いたげに項垂れて、黒木君や小塚君は苦笑い。
「いいか、アーヤ。俺達KZと小塚でアーヤを推薦する。確実に通るだろうから、アーヤも準備しとくんたぞ。」
了解。
「それから、あとは七鬼だな。あいつ秀明にもハイスペックの方にも入ってないから」
その時、タイミングよく忍がやって来て、息切れをしながら私たちに話しかけて来た。
「ごめん、遅れた」
若武はまた怒っていたが、忍が話始めると、それは直ぐに収まった。
「俺……引っ越すかも」
久々書こかな。
いっぱいレス増えるのはいいけど、その分古スレが上がるようになって、春休み明けには稼働していない板になる未来が見えるよ……:(´◦ω◦`):ガクブル
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前 アーヤside
引っ越す……?
翼が開成に行って、忍も違う学校に行って、なんか……みんなバラバラで悲しいな。
「どこに引っ越すんだ? KZ活動は続けれそうか?」
若武が少し焦り気味にそう言った。まあそうだよね、忍はIT系について詳しいし、霊力もあるし、もう居てもわらないと困るメンバーだよ。
「それが……網走、でさ」
皆が息を呑んだのが分かった。
中学生は、自由じゃない。
北海道に引越しなんてされたら……もう、会うことは出来ないに等しいんだ。
「晃明入れよ、絶対に」
「そうだね、そうすればまた会えるね」
「しばらくは会えないのか……悲しいな」
皆が悲しいムードで忍に晃明に入ることを進めていると、忍は少し苦しそうに言った。
「いや、引越しするかしないかは定かじゃないんだ。ただ、するかもしれないってこと。お試し期間的、みたいな?」
詳しく聞いてみると、婚約者と会ったり、お父さんと話をしたりするのに最適な場所が北海道だったらしい。
網走にしたのは、忍の意思。
アイヌ人の子孫が今でも住んでるところがあるらしくて、霊がいたら話を聞いてみたいと思っていたんだって。
「で、晃明ってなんだ? 俺家と学校以外はあまり行きたくないんだけど」
忍は林間学習について何も知らなかったらしく、その事について話た後、それこそお試し期間でもなんでもいいから塾に入れ、ということになった。
「今回も事件は向こうからやってくる! 俺達はそれを掬い残すことなく掬い、解決するのみだ! では、解散」
若武が解散、と言ってすぐに予鈴がなる。
階段を駆け下りて、忍のことについて考えることにした。
もしも網走に行ってしまうことになったら?
それは忍の自由だ、止めることは出来ない。
でも、なんだか寂しい。
天然で空気が読めないところもあったけれど、大事な存在なのは間違いなかった。
授業開始のチャイムがなっても、どこか上の空でその事について考えてしまっていて。
踏ん切りがつかないまま、林間学校当日を迎えてしまったのだった。