>>92 ありがと!
12 謎の人物の歌
「秀介さんのアリバイは?」
私が聞くと、小塚くんはため息をついた。
「それが………黒木が言うには、今日市民ホールで怪我をして〇〇病院に入院、面会謝絶状態なんだって」
それって、結構大きな怪我だよね。
「背中とかに痣があって、意識も朦朧としているらしい。僕はさっきの事件に巻き込まれただけだと思ってるんだけど」
私もそう思う!
何回か秀介さんとは話したけど、殺人を企む人ではないし。
でも、これは私の想像。
秀介さんのアリバイを証明しないと。
「秀介さんって、市民ホールに一人できていたのかな?」
私は小塚くんに聞きながら思った。
「秀介、もうすぐ予選終わるぞ」って言った人なら秀介さんのアリバイを証明できるかもしれない、って。
「分からないけど、黒木に聞いてみるよ。じゃあね」
私は電話を切ると、机に向かって事件ノートを開いた。
えっと、事件名は………『百人一首大会殺人事件』でいいかな?
私はそう書いた隣に(仮)と書いておいた。
まず、事件の起きた場所、時間などを記入し、今の段階での謎を書き出した。
謎1〉水森宇津城を殺害したのは誰か
謎2〉なぜ水森宇津城を殺害したのか
謎3〉神楽井琴は、この事件に関わっているか
謎4〉神楽井真弥はこの事件に関わっているか
謎5〉徳川秀介はこの事件に関わっているか
う〜ん。どこから切り出せば真実にたどり着くのだろう。
通り魔的犯行というのもありえるし。
私には、琴さんの「これは復讐なのよ」の言葉、真弥さんの公園で流した涙、秀介さんの「………の野望を………てほしい」が気にかかる。
沢山の疑問を抱えながら翌日、カフェテリアに行った。
やっぱり私は1番最後で、若武に怒られた。
「では、百人一首大会で殺人起きて大惨事事件の会議を始める」
ネーミングセンスは相変わらず最悪ね………
「あの、事件名は百人一首大会殺人事件ってしてるんだけど。こっちの方がわかりやすいし」
結局、私の案で事件名は百人一首大会殺人事件になった。
「アーヤ、今までの事件についてまとめて発表して」
私は言われるがまま、事件について発表する。
「徳川秀介なんだが、アリバイが成立した」
発表し終わった後、黒木くんがそう言った。
「徳川秀介は友人5人と市民ホールに来ていたと、その中の一人に話が聞けた。予選が終わって帰ろうとしたときに徳川が体育倉庫の方で物音がすると言っていて、体育倉庫に行ったらしい。すると、顔がよく見えなかったが、女の子が水森宇津城を殺害しようとしていたらしい。そこを止めに入って、秀介は女の子に振り払われた勢いで体をうち、怪我をした。それで友人たちが救急車を呼んで、入院した、と。警察を呼んだのも秀介の友人だ」
ということは、秀介さんは犯人ではないのね。
これで謎5は解決した。
あとはその女の子が誰か、わかればいいんだけど。
「いくらなんでも、体育倉庫にまで防犯カメラが付いているわけじゃないから、情報収集をひたすら頑張るしかないな。俺からは以上」
「次、小塚」
「縄跳びの指紋は、量が多すぎてどれが犯人のものか特定することはできなかった」
そこで私はふと、思ったんだ。
「ねぇ、今琴さんと真弥さんはどこにいるの?」
みんなも思い出したかのような顔つきになる。
「私たちは真弥さんが犯人ではないかと思い込んでいた。けれど、逆に真弥さんも宇津城さんと一緒に殺害されかけたかもしれない」
そう思ったけど、声が遮った。
「それはないな」
そう言ったのは黒木くんだ。
「そうだとしたら今頃、捜索願でも出されてるはずだ。神楽井姉妹の行方不明は考えられない」
そっか〜。
「事件の解決で1番手っ取り早いのはやっぱり徳川秀介に聞くことだろう。回復するまで待った方がいい。果報は寝て待て、だ!諸君、解散!」
12章、長くなったけど終わった〜!
もう中学校に通いだしたんで、投稿頻度少なくなるかもです。(毎日1〜2回くらいになるかも)