快適な時代は人を殺める<9>

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555:巫女:2015/01/08(木) 03:28 ID:1z2




小さい頃から愛情表現は苦手だった。
自分と同じ双子の妹は父にも母にも可愛がれ。
終いには一歳年上の兄にも可愛がられていた。

双子の妹、琥珀は成績優秀。運動神経抜群。
なんでもできる彼女は一年、また一年と歳が積み重なっていくと共に賞状が増えていった。
それに比べて俺、…当初、珀斗は何もできない子だった。

母から何度も「なんであなたを産んだのかしら」と言われた。
母は妹の優愛や琥珀、兄の伊縁には優しかった。
なぜか俺だけは愛してくれることはなかった。
正直、母が死んだ時の俺は喜びと悲しみが混ざっていた。
喜びの方が強かったけれど。

でも、葬式では泣いてしまった。
そんな時にも琥珀は大丈夫だよと背中を叩いてくれた。
その一つの行動に少しイラつきを覚えた。


また数年経った。
父の暴行が激しく、家にいるのがつらくなった俺と伊縁はこっそりと抜け出してきた。
そして今、離れたところの中学校にいる。

「すごい!小山くんって本当に頭良いんだねっ…!」
「かっこいいし、運動神経もいいし…小山くんっていいよね」
周りからそんな声が何度も飛んできた。
あの家から抜け出してきた後、俺は必死に勉強をした。
琥珀を抜かすだけがために。

中学二年の春、一人の女が俺に話しかけてきた。
「小山くん、私ね。小山くんが好き」
そんなことを言ってくる彼女の名前は…ああ、なんだっけ。
10年も前になると忘れちゃうね。
彼女はスタイルが良く、明るい性格からみんなの人気者だった。
そんな彼女の告白だ、無理ですなんて言わずに俺は一言だけいった。
「よろしくね、」


彼女と付き合い始めて3ヶ月程した時だ。
彼女が俺の家に来て、抱いてと俺にねだった。
ビッチなのかと思ったが、言われた通りに抱いてやると違った。
そんな彼女が月夜に照らされる中、ぽつりと呟いた。

「あのね、私。持病があるの。」
ぽつり、ぽつりと話す彼女の言葉を俺は聞き逃さなかった。
「あと1ヶ月。もつかもたないか。」



彼女の言う通り、1ヶ月がたってしまった。
今、目の前にいる彼女には白い布が被されている。
白い布をとると、白く冷たい、もう開かない彼女の顔があった。
「死んじゃったんだ」
人の死を見ることはあまりなかった。
それに彼女のことは好きではなかったはずだった。

でも

なぜか心にチクリと何かが刺さって。
「…な、にこれ。ばかじゃないの。」
チクリと何かが刺さる胸を強く握った俺はその場から離れた。


巫女:2015/01/18(日) 00:38 ID:o5. [返信]




それからだろうか。
俺は他人に感情を表さなくなった。
それ以来、俺の周りからはどんどん人が離れていく。

そして中学卒業。
それと同時に琥珀は俺の家に住むようになった。
過去を捨てたい俺と彼女は勝手に名前を変えたのだ。
レオ、リオ。母が昔つけようとしてた名前。

俺たちは新しい名前でいつも通り生活していた。
「…レオ、寝てばっかりいると太る」
リオはいつもうるさかった。
家庭的なことは得意な彼女だが、すぐ人を注意する。そこが彼女の欠点である。
「うるさい」
そんな会話が続く毎日だった。
一応俺は学校に行っている。気が向いたらだけれど。
リオは学校に行かなかった。
聞いたところ、前の学校にいた時に酷くいじめられたらしい。
そりゃあ腕に傷をつけるだろう、そんなことを思っていた。


また、日が経った。
俺は受験シーズンといわれる時期になると夜な夜な女を連れ込んだ。
俺に惚れて抱いて欲しいというクソビッチ共。
「あたし処女だから…優しくしてっ、愛してる」
そんな言葉をかけてくる女がとても気持ち悪かった。

俺が優しく抱いてやると最後には「好きです」などと。
抵抗もしない女には興味がない。

女を抱きあきた時にはもう16歳だった。
おれは受験を受けなかった。
もちろんリオも。
「レオ、今日も女を連れてくるのか」
16歳になり、口調が少し変わったリオは俺をじっと目で捕らえた。
「もう抱くような女はいないよ」
「夜な夜な遊ぶな。うるさくて寝れん」
リオは一言だけ告げると、料理をし始めた。

そんな彼女を少しからかいたいと思った。

「ねえ、リオ。男1人には抱かれたことないんでしょ?」
彼女の背後に周り、彼女を軽く抱きしめた。


* * *

昨日の夜中、リオを抱いた。
彼女は泣きながら抵抗していた。

『やめろ』
『こんなのもう嫌だ』。
そんな言葉を言ってきたのは彼女が初めてだった。
それだけに興奮した俺は彼女にたくさん痕をつけ、彼女の唇を奪った。

驚きを隠せなくなったのか彼女は最後に俺を蹴り、自室にこもった。

さすがにやりすぎたかもしれない。そんな気持ちが脳裏をよぎる。
「…まあ、あんなことされて。俺に無理やり抱かれたしなあ」

リオは俺が知らない間に結構つらいことがあったらしい。
小学生のころ、仲が良かった双子と違う中学に入学し、いじめの標的にされた。
その中学校はもちろん受験校。リオは勉強に追いつかず、テストも点数が下がる一方で。
父親はそれに気づき、リオへの虐待が前よりも


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