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それからだろうか。
俺は他人に感情を表さなくなった。
それ以来、俺の周りからはどんどん人が離れていく。
そして中学卒業。
それと同時に琥珀は俺の家に住むようになった。
過去を捨てたい俺と彼女は勝手に名前を変えたのだ。
レオ、リオ。母が昔つけようとしてた名前。
俺たちは新しい名前でいつも通り生活していた。
「…レオ、寝てばっかりいると太る」
リオはいつもうるさかった。
家庭的なことは得意な彼女だが、すぐ人を注意する。そこが彼女の欠点である。
「うるさい」
そんな会話が続く毎日だった。
一応俺は学校に行っている。気が向いたらだけれど。
リオは学校に行かなかった。
聞いたところ、前の学校にいた時に酷くいじめられたらしい。
そりゃあ腕に傷をつけるだろう、そんなことを思っていた。
また、日が経った。
俺は受験シーズンといわれる時期になると夜な夜な女を連れ込んだ。
俺に惚れて抱いて欲しいというクソビッチ共。
「あたし処女だから…優しくしてっ、愛してる」
そんな言葉をかけてくる女がとても気持ち悪かった。
俺が優しく抱いてやると最後には「好きです」などと。
抵抗もしない女には興味がない。
女を抱きあきた時にはもう16歳だった。
おれは受験を受けなかった。
もちろんリオも。
「レオ、今日も女を連れてくるのか」
16歳になり、口調が少し変わったリオは俺をじっと目で捕らえた。
「もう抱くような女はいないよ」
「夜な夜な遊ぶな。うるさくて寝れん」
リオは一言だけ告げると、料理をし始めた。
そんな彼女を少しからかいたいと思った。
「ねえ、リオ。男1人には抱かれたことないんでしょ?」
彼女の背後に周り、彼女を軽く抱きしめた。
* * *
昨日の夜中、リオを抱いた。
彼女は泣きながら抵抗していた。
『やめろ』
『こんなのもう嫌だ』。
そんな言葉を言ってきたのは彼女が初めてだった。
それだけに興奮した俺は彼女にたくさん痕をつけ、彼女の唇を奪った。
驚きを隠せなくなったのか彼女は最後に俺を蹴り、自室にこもった。
さすがにやりすぎたかもしれない。そんな気持ちが脳裏をよぎる。
「…まあ、あんなことされて。俺に無理やり抱かれたしなあ」
リオは俺が知らない間に結構つらいことがあったらしい。
小学生のころ、仲が良かった双子と違う中学に入学し、いじめの標的にされた。
その中学校はもちろん受験校。リオは勉強に追いつかず、テストも点数が下がる一方で。
父親はそれに気づき、リオへの虐待が前よりも
どんどん悪化していた。
きのう抱いて気づいたのはリオの体から痣が完全的に消えていなかったこと。
そして今リオの中で一番酷く醜いものは集団で犯されたことだった。
何も知らない彼女を売り、路地裏でその様子を見ていた女。そして何も知らない彼女はたくさんの男たちにやられましたと。
これまでにない酷い話だった。
それから自傷行為を繰り返す彼女を止める人はいなかったらしい。
彼女の部屋の前で立ち止まっていると、突如扉が開いた。
「レオ、学校に行くよ。俺」
そういってパンフレットを差し出してきた。
「は、受験してないのに?」
「通信制の学校だろ。大丈夫だ、多分」
そういう問題じゃない、などと声をかける気力もなかった俺は適当に返事をしておいた。
彼女は、17歳で高校に入り、周りと打ち明けていった。
ついには恋人まで。
俺はというと最初から人となじむのが苦手だった。
ねこをかぶり、優男という印象をもたせた。
そして、偶々だが飲み物を買いに行くときに一人の女性にあった。
彼女は校庭で体育座りをし、泣いていた。
「どうして泣いているんですか?」
彼女に声をかけると首を振った。
「好きなひとをとられちゃって」
答える彼女の隣に座り、話を聞いた。
心底どうでも良い話を聞き流し、再び彼女が黙ってしまった。
「これ、あげます」
先ほど買った飲み物を彼女に渡すと彼女は最初躊躇っていたがその飲み物を受けとった。
「ありがとう。君って優しいんだね」
そう笑う彼女を見て、自然に笑顔が浮かんだ
自然に浮かんだ笑顔に自分も焦る。
そこで彼女とはわかれた。
だが、彼女のことはあたまからはなれなかった。
「彼女を手に入れたい」
そんな気持ちでいっぱいになった。
* * *
気づいた時には彼女と一緒だった。
明るくてかわいらしい彼女はいじりがいもある。
邪魔な奴が一人いるが。
リオも結婚して幸せだ、などといっていたっけ。
ただ、彼女の心の闇は消えないだろう。
今も彼女に残ってるのは痣と腕の傷口だ。
今はそんな彼女を軽蔑しないで生きている。
見下さないように。
いつか、本当の大切な双子の妹として見れるように。
これは過去を救いたかった子のお話。