ガラガラガラッ
一つ先の何かを見据えているように
無言で扉をあける。
周りのざわつきも気にせず、席に着く。
「あ、きたんだ。」
「あ、そ。」
周りの反応はとても薄く、皆、元の行動に戻る。
直接的ないじめを受けている様子はないが、咲に興味がないフリをしているのだ。
こうすると先生から注意される事もなく、精神的ダメージを受けさせられる。
でも、ついにトップの女子達は、それじゃ満足いかなくなったのだ。
トップは3人いる。取り巻きに2人。
「あっ、おはよぉ〜!来たんだね、学校。サボって何してたのぉ?」
語尾を延ばすクセがある。ぶりっこではないが可愛いと言われている、安藤真希。トップの中のリーダーだ。
「もしかしてっ、家出ずーっとパソコンしてたとかーっ?」
安藤真希と幼馴染で、ギャルの部分が少しある、金遣いの荒い後藤文美。
「掲示板なんかやってても…意味ない、内容なんて、すぐ見る」
少し言葉遣いがおかしい、庄野美佐。
「あれぇ、名前、なんだっけぇ…?ガチで忘れちゃったよぉ〜」
「ウチ、嫌だけど覚えてるわ。江戸咲。江戸だって!江戸時代〜〜〜」
「江戸…戦争で死んでしまえば…もう…終わり」
「咲、後で時間空けとけよ?」
…
「返事…言う…」
「咲ちゃぁん………返事しろ!!!」
逆鱗に触れた咲は、新たなるいじめを受ける事になる。
まるで朝の親の声のような怒鳴り声をあびた咲は、黙ってはいられない。
『やだっていったらどうするんだよ、無計画?』
咲は立ち上がっていった。
次の瞬間
ドミノ倒しのように、イスが次々と倒れていく。
先頭には咲の苦痛の顔。
真希の手がすぐ側にあった。
「返事、ちゃんとしよぉ?「はい」って言うんだよぉ…てめぇにはそれくらいしかする事ないからなぁ!!!」
『絶…対嫌だ…から………なめんなよ…』
真希の体が浮かび上がる。
咲は体が柔らかく、足を伸ばして、思いっきり蹴り付ける。
「こら!江戸!何やってるんだ!こっちへ来い!」
「ふぇ…痛いよぉ…痛いよぉ…っ」
『チッ…バーカ、死んでろヴォケ』
咲は走り去っていった。
「た、退学にするからな!!!」
『義務教育だからムリだよ?アハハハハハハ』
そのまま家へ帰って泣き崩れた
ある夜の事だった。