プロローグ
もうすぐアラフォー、around 40なんて呼ばれるようになる私だが、未だに色濃く残っている記憶がある。
――母が亡くなった日のことだ。
当時まだ中学1年生。
ついさっき小学校を卒業したような私にとって、その事実は衝撃的だった。
昔は――いや、今でもお昼ご飯に大量のおにぎりをもぐもぐしているような楽天家の私だが、その時ばかりは……号泣したのを覚えている。
般若心経か、それとも他の宗派だったのか……そこら辺はよく覚えていないけど、とにかく難しいお経が響く葬式会場、
――には全く近づかず、トイレの隅で泣きながらおばあちゃんが作ってくれたおにぎりをもぐもぐしていた。
……あれ? 結局もぐもぐしてたね、今思い出してみると。
――ま、それは置いといて。
そんな訳で母を亡くし、生まれる前に父を亡くしていた私は父方の祖母の家にお世話になることになった。
中学校もその時に転校して、ただでさえ周囲から浮いていた私は本格的に人から避けられるようになった。
……でも、寂しくはなかった。
だって、何の因果か私には多くの『モノ』が語りかけてくれたから。
これは、私に語りかけてくれたモノ達――白(Tukumo)の物語。
人ならぬ者――モノが語る、『モノ語り』