普通な学園生活を送らせてください!

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
5:紺音 シキ:2014/09/25(木) 18:26 ID:WDE


 窓辺の席でついた溜息は、吹きこんでくる柔らかい風がさらって行ってしまった。
 私は騒がしい教室の空気から逃れたくて、ふらりと席から立ち上がった。うるさいのは嫌いだ。
 私はうるさい、非日常、非現実が大嫌い。平凡が一番だ。なのに、どうしてこうも騒がしいんだろう。
 と、イライラを募らせていると、肩に誰かの手が置かれたと同時に、明るい声がした。


「おぉ、今日の不機嫌さは絶好調だな、波乃!」

「……うるさい。つか、離して」


 朝からキラッキラな爽やかオーラを放ちながら、私をそうからかってくるのは巳守 陽。
 よく言えば幼馴染、悪く言えば腐れ縁のイケメン野郎。無自覚なところがより一層腹立つけど。
 まぁ、苛立ちなんて無駄な事を考えるのはやめにしよう。それより、気になったことを聞いてみることにする。


「巳守、キーは?」

「今日も置いてきた! あいつ準備遅いんだよ。毎回言ってるだろ?」

「ふーん……」


 まぁ、私には関係ない。余計な事を考えるのは面倒なだけだ。
 そのまま図書室に向かおうと巳守を押しのけると、巳守は不満そうにこっちを見た。


「なんだよー、愛想悪い奴―」

「それを一番理解してるのは巳守でしょ」

「まぁ、そうだけー……」

「お、おはよう波乃、陽!」


 会話に割り込んできたのは、さきほど言っていた「キー」だ。
 キーこと三島希音は、よほど急いできたのだろう、息切れをしている。


「おはよう」

「おー、希音おつー」

「おつーじゃないよ! なんで置いていくの!」

「希音が遅いからだろ〜?」

「うっ……。ごめんなさい」


 何度見ただろう、キーが巳守に謝っているところ。今思えば、毎朝繰り返されているような気がする。
 ……まぁ、これも私の平凡な日常の中の一つなんだけどね。


全部 <前100 次100> キーワード
名前 メモ