*作者から*
この物語は、視点がよく変わります。ですが、謎解きを楽しんでいただくため、誰視点かは書いておりません。視点が変わる時には*をつけますので、ご確認ください。
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「おはよう、佑月」
「おはよう、朱莉ちゃん。」
清々しい朝。友達の朱莉ちゃんにいつも通りの挨拶をする。
「唐突だけどさ、」
「佑月って、好きな人いる?」
「…朱莉ちゃん。」
「…うん。」
重たい空気が流れる。
「変なもの食べた?!」
だって、朱莉ちゃんはそういうことに縁も興味もない。
「いや、違うよ…」
「嘘でしょ、急に女の子になるなんて、本当に朱莉ちゃんなの?」
肩を揺らす。こんなにかって位に揺らす。
「ただ単にののり様が噂してたから」
ぴたり、と手が止まる。
ののり様、というのは2年A組の女王である。容姿も可愛いし、なんでもできる。だから、それにくっつくことで生活している、そんな人間もいる。でも私達2人はそんな取り巻きとは離れて生活している。取り巻きはせいぜい5人だが、流されやすい奴も含めたら半分ほどが家臣だろう。
「ふーん」
目をつけられると面倒だが、今の所関係ないから、興味無さげに返す。
「でさ、あんたって悠のこと好きだったり、する?」
「はあ?」
思わず、変な声が出る。確かにあいつはイケメンだし、運動もできる。しかも私の幼馴染だから、少女漫画ならありえる。
「だって私は」