「兄やん・・・適当なところに座ってくれ・・・」
ミリスは席につくように彼を促し、矢澤が座るとどこからか水筒とコップを取り出た。
彼女はただの紅茶だよと言ってコップに注ぐ。
矢澤がそれを飲み干すと急に眠くなり、意識が途絶えた。
ミリスは矢澤を彼女の部屋まで運び、自身のベッドに寝かせる。
彼女は矢澤を抱きしめるようにして眠りについた。
夜が明けるころ、へぼっ・・・という謎の呻き声が矢澤の目覚ましになった。
ミリスの背が伸び、彼女の頭の方にあるベッドについた引き出しの取っ手に頭をぶつけたのだ。
矢澤が彼女の方を向くとかわいらしいパジャマの間からへそとパンツが覗いていた。
「頭と腰と背中と膝が痛い・・・」
「ミリス、頭はともかく背が急激に伸びてる」
彼女は矢澤の言葉に頷き、ゆっくりとベッドから降り、身長を測る器具に乗る。
それは彼女の背を199cmと示していた。
彼女が体重計に乗ると、それは94.7と示している
「あれだけ気を付けていたのに太った・・・!?」
矢澤は違う違うと手を横に振り、背が大きくなって、胸が大きくなってると教えた。
「兄やん・・・優しい・・・」
彼女は顔を赤らめる。
少し冷静になって彼女は考える。
クローゼットを開け私服、制服を漁るとどれも彼女のサイズに合わなくなっている。
ジャージのズボンをパジャマの上から合わせるとギリギリ入るが、くるぶしより少し上の場所まで出ている。
「外に出れない・・・」
彼女は学校に電話し宅急便が来るまで休むと伝えた。
ミリスが太っているならともかく、痩せているからちょうどいサイズがないのだ。
太っていると思うかもしれないが、矢澤を運べるほどの腕力があり、胸も大きめ、髪の毛を特殊な形に束ねても膝下まである。
彼女を禿にして、貧乳にしたところを想像してみよう。
髪の毛は40cmでだいたい125グラム。
彼女の身長を2メートルとしよう。
最低でも彼女の身長と同じ長さはないと出来ない。
髪の毛だけ625グラムもあるのだ。
胸は大体体重の1パーセントというが、彼女の背でCカップなので2パーセントとみていい。
約4キロだ。
彼女の実質の体重は先ほどの体重計の結果から4.6キログラム減らすと出る。
この結果からボンキュッボンだと言うことが出来る。
矢澤は彼女の背丈に似た知り合いがおらず、彼女のサイズに合う服屋を知らない。
ミリスはジャージにとりあえずということで着替えようとする。
いや、着替えた。
矢澤は普通に見てた。
異性として見れない故の行動だ。
ミリスは矢澤の朴念仁に呆れていた。
「おかしいな・・・」
と彼女は呟いた。