プロローグ
「おい聞いてくれよ」
携帯を片手に持ちここらの地域を確認しながら歩いていると偶然、馴れなれしくおっさんが話しかけて来た。
そのおっさんは、作業服のズボンに、上は所々汗の染みがある白いノースリーブにヘルメット、タオルを首に掛けて
誰から見ても工事現場の人の様にみえた。俺は不機嫌そうに
「・・・何ですか?」
と、答えた。
おっさんは、問答無用で俺の腕を掴むと『立ち入り禁止』と、書かれているキューブの方へ引っ張られて行った。
俺は、事情だけを聞いてすぐこの場から離れようと思っていたため、抵抗をしないで黙って立ち入り禁止区域の中へ引っ張られていかれた。
正直、俺の腕を引っ張っている人が二次元のあのキャラ「まい☆りん」だったら何時間でも連れ回されても良かった。
しかし、今の現状はおっさんが二十歳過ぎた奴を連れ回している。どんな基地外な奴でもそんな同人誌を誰も創らないだろう。
俺は、掴まれていた手を解いた瞬間、おっさんも立ち止まった。
「どうした?」
と、疑問に持ちながら訊ねるとおっさんは、その質問を無視して何本も倒れているパイプの方へ急に駆け寄っていった。