「私で良ければ、ずっとそばにいますよ」

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1:カナリヤ:2015/03/29(日) 22:06 ID:3Y.


___頭が真っ白になるって、こういうことだったんだ………

まるで水の中に沈められているような、首を絞められているような苦しさ。
パニック状態に陥りながらも、頭の中はどこか冷静で……
まるで、今苦しんでいる自分とは別の「自分」が、この状況を真顔で見つめ実況ているかのようだ。


_____息がしたい。
肺が、全身が酸素が欲して痙攣している。
けれど、思うように呼吸ができなくてもどかしい。

苦しい……苦しい、苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい…………

ただただその言葉が頭の中を埋め尽くしていくようで。
次々と考えや思いが霧の中へ消えていく。
掴もうとしても掴めない。そんな感じだ。

……だんだんと、何が起きているのか、何があったのかを考えられなくなってきた。
ただ、自分が寝そべっているのは分かる。そして、これからどうなるのかも。

____「死」、か。

薄れていく意識の中で、ぼんやりと考える。

死ぬって、この世から消えること。
人生を終えること。
大切な人とお別れすること。

じゃあ、私何すればいいのかな?
体ももうロクに動かないし、お別れって言ったって、誰に何をすればいいのか分からない。

……だんだん、じわじわと周りの騒音が聞こえなくなって来て………とうとう、何も聞こえなくなった。
自分の体に終わりが………タイムリミットが近づいているのを悟る。
今は…かろうじて景色が見える程度で。
もう時間が無いのだ、と自らに言い聞かせる。


______ならば、せめて今できることを、と。

最後に………ふと、しっかり前を見据えてみる。

(あれ………?)

この人、よく知ってる。
確か、私の大切な、大好きな人だ。
………でも私、ちゃんとその人に「大切だ」って……「好きだよ」って伝えられなくて……………?


____視界が全て覆われる寸前、私の目には見えた。
大粒の涙を零す、その人の姿が。
そして、次の瞬間呟いた私の言葉は、ちゃんと貴方に届いただろうか………


「___________」


ブレーカーが落ちるかのように、私の意識は途絶えた。


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