人、多いな……
苦笑しつつ、所定の場所に座り溜め息をつく。
思えば、知っている人少ないんだよなぁ……
中学校は元住んでいた場所の小学校から持ち上がりの学校で友達もそれなりにいた。
しかし、高校生となった今、県外へ引っ越ししたため知っている顔なんて乃和だけなのだ。
乃和の方をちらっと見ると近くの女子と意気投合している。
僕も誰かに話しかけようと思ったけど座っている人はまばらでほとんどの人は立って話している。
人見知りって訳じゃないけど、なんか話し掛けにくいな……
手元のスマホを見ると入学式まであと10分__
10分って長いんだよなぁ、それに誰とも話せてないから退屈。
周りをくるりと見渡した。
体育館新しいのかな……
やけに綺麗な体育館。
そして前を向く。
真新しい制服が動きにくい。
何もかも新鮮だ。
「あ、もしかして十和くん?」
見慣れない女子に声を掛けられ思わず顔をあげる。
どうして僕の名前……
「あ……」
懐かしい声がする。
君は_____