「お前が外に出るなんて珍しいな〜」
「うん、そうだね。そして黙れカス」
「相変わらず辛口で」
「ありがとう」
「褒めてないからね」
「知ってる。じゃあね」
下らない会話を断ち切ろうと別れを告げたが、会話は続いた。
「ところでさ、どこいくの?」
「どこだって良いでしょうよ」
「そんなリュック背負ってたら、気になるじゃんか」
「そこら辺にいるでしょ、リュック背負った人なんて沢山…」
「いや、いるけどさ。外に出ない稀世嶺がそんな格好してたら不自然でしょうがないんだもん」
「あ………」
確かにそう思われるのも仕方ないと思った。しかし、今行く所を言えば「行くな」と返って来るであろう。母親にも止められていたのだから。それを無理矢理押しきって今ここに至るわけだ。
「どこ行くの?」
「…えっと……、あの……」
周りを見渡し、考える。
「あっ、物を届けるよう言われたんだった」
「へぇ〜。そしたらあっち側行くの?」
「え?あ、あぁ、まあね」
「んじゃ、俺も行く」
「いや、アンタはいらない」
「俺暇だからさ、お前の家行こうと思ってた最中で。そしたらお前がいたから。その届け物届けたら遊ぼうぜ」
「いや、無理」