「おい、しゅう!エコバッグ何色選択した?」
友達に投げかけられた質問に、男の子は答える。
「赤」
一瞬で言ったその言葉。質問に即答します。なぜならそれは、赤が好きだからです。
その子の名前は、愁太郎。よく、しゅうと呼ばれます。
「お前、赤ばっかだよな」
「赤、好きだからな」
「ふーん。いつくらい?」
「小学……2年位の時からかな」
「あー、あの鶏が殺された時ぐらい?」
「そんな事もあったな」
少しの昔話を終えると、すぐに友達は自分の席に座りました。
友達の少ないその子に出来た、たった1人の友達が、その友達です。
その友達の名前は、明。しゅうも皆も、あきらと呼びます。
ですが、あきらさえも、しゅうが何故赤を好きなのか知りません。
その事を知っているのは、1人の女の子だけなのです。