はぁ。今回で転校は最後、そう言ってたけど、本当かな?
ここにはレンがいる。
できれば、離れたくないの。分かる?お父さま。
「ちとげさん、ここがあなたのクラスよ。さぁ、入ってちょうだい。」
綺麗な先生に案内された部屋もキレイ。
ま、私立だしね。でも、前までの私立ってこんなにきれいだったっけ?
別にいっか。気にしない、気にしない。
「ガラガラ はーい、今日は昨日話した通り転校生を紹介する。」
この感覚、慣れてるなぁ。このざわつき感、キライ。
「入ってくれ。」
先生の口調が変わってきてるかも..?でも、このキリッとした大人の女性的教師なら、こんなもんか。
「転校してきた音愛ちとげです。よろしくお願いします」
男子の歓声、女子のヒソヒソ声、もう慣れっこだよ。大きい声で話せないことは今話さないでほしいなぁ。
「レントのとなりに席はつくったから。そこに座って、案内とかもレントに頼んだから。」
「え?あ、はい。」
はい来ましたー。お決まりの後ろの席になって---恋!ってやつ。レン相手じゃときめかないし、まず恋に興味ないから。
っていうか、他のところは席替えしてくれたわよ。
「不機嫌だな」
「そう?っていうかレンって頭良かったのね。」
「別に。お前、またいじめr......」
「うるさい。黙って......」
心配してくれている。そんなのわかってるよ。でも、でもね。
レンじゃ、この傷は埋められないの。この悲しみは、消えないの。
パパはお金持ちだからすぐに転校させてくれる。自分が悪いからって。
だけど、そんなんじゃ一生友達なんて出来ない。
昼休み〜
「レントくぅ〜ん♡一緒に食べな〜い?」
うげっ、何この人。やたらと身体自慢してくるんだけど。苦手なタイプだなぁ。
やっぱりレンはモテるんだ。なんか、ちょっぴり淋しいかも。
「悪りぃ。これからは『ちと』と食べるから。」
ん?ちとって私の事?んなわけないか。昔は『ちと』って呼んでくれてたのになぁ〜。
さて、行こうかな。 よっこらせっと。
「おい、どこ行くんだよ。」
....へ?