一輪目[センテッドゼラニウム]
「1年3組の麻実凛です。Y市立S中学校出身で、元帰宅部です。頑張りたいと思っているので、よろしくお願いします。」
「よろしくー」
ちらほら掛かる挨拶に浅く一礼して、そのままその場に正座した。
私の左隣の人もそれに倣って立ち上がり、似たような言葉を述べ出す。
ここ、県立M高校には多くも少なくもない部活があり、この春この高校に入学した私も多くの高校生がそうであるように適当な部活に入った。
私が選んだのは担任が顧問を務めている弓道部だ。
「じゃあ、2年生は射込み、1年生は外で徒手練。2年生は手が空いてる人、1年生指導をしてください。これから今日の部活をはじめます」
「よろしくお願いします」道場内に大きな声が響き全員が一斉に動き出した。
私も他の1年生を追うようにして道場内を出て、道場前の少し開けた場所でそれぞれ練習を始めた。