アンチューサとダスティミラー

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3:立葵:2015/07/25(土) 14:55 ID:fvw

因みに「徒手練」というのは、弓道の基本である射法八節を弓や矢、ゴム弓などを持たず素手で行うことである。

体験入部で一度教えて貰ったが、初心者には結構難しかったりする。

「麻実、弓構えはもう少し円相を意識して……うん、そう。それくらい肘を張って……はい、次、『打起し』」

三年生は各自大会に向けて自主練、となっているらしく、二年生に混じり射込みをし、記録を一緒にとっていたりするのだが、今日は一年生指導に加わっている。

射法八節を各自先輩と一対一で見てもらっているのだが、まず弓と矢を持ち手を腰に当てる基礎の執り弓の姿勢で注意され、重心を少し前にし安定させる胴造りでも注意され、弓を体の前で持つ弓構えで注意を受けた。

唯一注意を受けなかった肩幅より少し足を開く足踏みも、ただ先輩が見てなかっただけだったりする。

手厚い指導を受けながら、的の方をみるという顔向けはそのままに凛はちらりと先輩を覗き見た。

その姿に映り込むのは、キラキラとした濃紺のオーラ。
それは先輩に絡みつき、濃くも薄くもない異様な存在感と威圧感を放っていて、先輩の雰囲気とよくマッチしていた。

つまり、凛は所謂「超能力者」だったりするのだ。


超能力、と聞いて思い起こされるものは何だろうか。
スプーン曲げ、瞬間移動、物を宙に浮かせたり、相手の心を読んだり……並外れた、人には不可能なものを人はそう呼ぶ。

凛もまた、それらを扱う者の一人であり、そしてそれらに縛られる人間の一人であった。


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