新井「臼井くん、僕は今ものすごく暇だよ。」
放課後、オレンジ色の教室。俺の机に顔を突っ伏した君。居残り課題を仕上げている真っ最中の俺を容赦なく遠慮なく邪魔する君。無論、顔が邪魔だ。
新井「臼井くん、ホラゲしようよ。」
五月蝿い。煩い。うるさい。
そういえば五月蝿いと煩いの違いがあったような気がする。確か五月蝿いは夏目漱石が当て字して作った造語だったとか。心なしか漢字からもどこか文学的なものを感じる。もちろん今俺がやっている数学の課題には、それを生かして解ける問題なぞ存在しないのであるが。
新井「FNACだっけ。あれやろうよ。ねぇー。」
臼井「新井君。君は俺とゲームをやりたいくせしてなんの協力もしないね。本当にやりたいなら直ぐ様その顔をどけて課題にいち早く取り組ませてくれ。........あと、FNAFだよ新井くん。フランスじゃないんだから。」
新井「どっちでもいいよ臼井くん...」
臼井「どっちでもいいっていう言葉は大嫌いなんだ。FNAFはPCホラゲ。FNACはフランスのチェーン店。明らかに別物だ。それをどっちでもいいだなんて。」
新井「英語は難しいわぁ」
臼井「外国語だから。言い方が似てるからどっちでもいいって言うのか君は。日本に来た外国人にアコムとセコムどっちでもいいって紹介する気か君は!!お金欲しいときに防犯対策させるのか君は!!!金が消える一方だよそれこそ!」
新井「悪かったよ臼井くん!ごめんよ!!僕が悪かった。だから落ち着いて!!」
まったく。これだから新井君は。学年エリートのくせに常識が欠けている。話しているときにいちいち気になってしまうじゃないか。しっかり俺が指導してやらないとな。
新井「あ、臼井くん!」
臼井「ん?」
新井「ここの式、+1って書かなくてもいいんだよ!」
臼井「......................どっちでも......いいんだよ...」