「あ、みかっち! 早かったね! 新しい人が奥にいるから自己紹介しておいで!」
迎えてくれたのは深山裕奈(みやま ゆうな)さん。前オーナーの深山裕子(みやま ゆうこ)さんの妹で現オーナーだ。そして、みかっちとは裕奈さんが付けた私のあだ名。
店のカウンター奥にある休憩スペースへと向かった。
私が今一番新しい従業員だったから、初めての後輩という存在が出来るのだ。そして、そこには、年齢的には先輩か後輩かはわからないが同じ年代の少年が目の前には立っていた。
「初めまして! 甘利実果です。これからよろしくおねがいします!」
私は元気よく挨拶をした。目の前の少年は静かに私の名前を繰り返した。
「こんにちは。僕は卯月真紘(うつき まひろ)です。こちらこそよろしくおねがいします」
うつき……まひろ。私は口には出さずに心の中で繰り返した。
「みかちん自己紹介終わった? ん、じゃあ準備してお店出てねー」
ぴょこっと裕奈さんは顔を出して、店の方にまた消えた。さぁ、がんばりますか!
「いらっしゃいませ!」
私は入店のベルの音とともに大きな声でお客様を迎えた。
[訂正]
×→みかっち
◯→みかちん