*気付いた気持ち*
「あっ、月!」
「おぉ、りゅー!」
「奇遇だなー!」
「またボール拾いー?」
「おぅよ、1年だからな!」
りゅーは私がよく通るグランドの横の道に出てきたボールを拾っている。
そして、私を見かけたら必ず声をかけてくれる。
「今日もお疲れだねー。」
「おー、レギュラーメンバーに入るためにはもっと頑張んないとな!」
「うん、応援するよ!」
「ありがとな!」
りゅーは、いつも明るい笑顔で私を元気にしてくれた。
そんなりゅーを見るたびに胸がキューってなった。
・・・いやじゃない、痛み。
分かんないんだけど、心地悪くはなかった。
気付いたら、恋の歌詞を書いている。
・・・私どうかしちゃったのかな?
恋することが大嫌いなはずなのに。
どうしてだろう?
恋が憎いはずなのに。
何でなんだろう?
分かんないけど、私の胸がキューってなるのはりゅーの笑顔を見たとき。
私が元気になれるのはりゅーの頑張る背中を見ているとき。
・・・私が歌詞を書くとき思い浮かべるのは、りゅーの姿。
私・・・りゅーに、恋してるのかな?
分かんないけど、多分そうだ。
・・・いや、絶対そうだ。
「あ、月ー!」
「りゅー!」
「また会ったな!」
ほら、無邪気な彼の笑顔に胸が張り裂けそうになるんだ。
『切ない』『愛しい』
まさにこの感覚。
この私が、恋をした。
男の子が大嫌いで、片想いが大嫌いで、恋することが憎い。
そんな私が恋をした。