「恵麻、ちょっと来て!」
放課後、鞄に荷物を詰めていた私に、友達の花織が声をかけてきた。
指さす方を見てみると、グラウンドでサッカーをしている男子たちの姿が。
そんな中で、私の目線は、ある一人の男子に集中していた。
彼は、大村春人。
私の……初恋の相手。
「……ねぇ、恵麻はさ、何で告らないの?」
「えっ?」
私が驚いたような声を上げると、花織は不思議そうな顔をしていた。
「好き」と言わない理由は、付き合ってもらう、もらわないに関わらず、告白したら何となく気まずい関係になりそうで怖いから。
「…怖いんだよ」
「何が?」
「春人君に告白したら、何か気まずくなっちゃいそうで……」
「……」
それを言った時の花織は、何か言いたげな顔をしていたけれど、何も言わずに口を閉じた。
「花織?」
「何でもない。帰ろっか」