商店街の前で花織と別れ、私は桜並木を一人で歩いていた。
ふわふわと、ツインテールの髪の毛が揺れる。
私の名前は斉藤恵麻。
紅葉学園高等部の2年生。
私はすごく引っ込み思案で思っていることを伝えられない。
でも、春人君の事はすごく大好き。
だから……いつか付き合えたらいいな……。
―ガサッ……ガサガサッ!
「えっ?」
何?この音……。
ふと、上を見ると桜の木が揺れていた。
「え!?」
―ガサッ!
「うわああぁぁ!」
「っ!?」
声を上げる間もなく、私は何かにぶつかった。
「痛い……」
上半身を起こすと、女の子が立ち膝で口元をぬぐっていた。
じっと見ていると、私に気が付いたのか、その女の子は私の方を見た。
「……あんた、斉藤恵麻?」
「え……?」
「斉藤恵麻なの?」
何、この子……。
何で私の名前知って……。
すると、私はあることに気が付いた。
ツインテールの髪型。
二重のまぶたに長めのまつ毛。
「私?」
そう、私そっくりな女の子がそこにはいたのだ。
しかも、私がそうつぶやくと、その女の子は嬉しそうな顔で私の手を握ってくるものだから、ますます意味が分からない。
「よかった!恵麻なのね?」
「そうだけど……」
「あっ、私は斉藤恵麻……っていうか、私もって言った方が正しいかな?」